隆之と牛丼
美希ちゃんの幼なじみの 木島隆之
が出て来ます。
俺と姉ちゃんと
と伊舞さん
は歩いて近所の牛丼屋に向かう。
…さくらは寝ているので…
伊舞さんに抱っこされている。
5分程歩いて牛丼屋に着いた…
中に入ると…見覚えのある人と女の子がいた…。
「美奈と…隆兄?」
「よう!純。
ひさしぶりだな…」
「アレ?純だぁ!」
「…何で居るの?」
「俺はここでバイトしてんの…
さっき終わったけどさ…」
「私は隆兄に牛丼をおごってもらうの!」
「隆〜
美奈ちゃんをナンバ?」
「…仲いいみたいだけど…誰なの?」
…伊舞さんは知らないよな。
この人は…
近所に住んでる
木島隆之。
姉ちゃんの同級生で幼なじみ。
小さい頃に遊んでもらって…
隆兄って呼んでる。
「木島隆之
私の幼なじみで同級生、頭は…悪い!」
「いきなりヒドいなぁ… 美希ちゃん」
「だって本当に頭悪いでしょ?」
「…うーん…まぁな…
とりあえず座ってよ…」
「美奈…なんで牛丼を?」
「隆兄は…私に負けたの…
だから牛丼をおごってもらうの」
何に負けたんだろ?
「隆…何に負けたの?」
「えっと…テトリス」
テトリスってあの…
「何回負けたの?」
「えっーと…
10回中8回かな…」
多いな…
「…なんでテトリス?」
「えっと…前に美奈ちゃんに会って…
それで美奈ちゃん家に…
なんか掛けないかってコトになってさ…
勝てると思ったんだけどなぁ…」
「…ねぇ隆…
伊舞さんと腕相撲してよ!」
「えっ…誰?」
「私の友達の伊舞さん!
負けたら…おごってね!」
姉ちゃん何てコトを…
勝ち目無いじゃん!
「悪いけど…俺一応男だからさ…
…そのコ誰?」
隆兄…知らないんだ
「後で教えてあげるよ」
「ねぇ…隆之君?
女だからって…手抜かないでね…
…本気だよ?」
「うっ…なんかすげー人じゃ無いか?」
「それも後でね〜。
じゃあいっくよー
…GO!」
決着は一瞬で着いた
…隆兄の負けだ…
いつの間にか勝負を見ていた定員の一人が…
「そんな…隆が負けるなんて…
信じられねーよ…」
どうやら隆は腕相撲が強かったらしい…
「…なんで…負けたんだ…俺…
…何者だよ…」
「やり過ぎちゃったかな…
私は七志野 伊舞
ちょっと合気道をやってたのよ」
「でも…隆が負けるなんて…」
「うーん…
要は力の入れ方じゃないかな?
…その後で力が強い方が勝つと思うわよ」
「…お客さんもしかして…サイン下さい!」
…誰…店長さん!?
「いいですけど…
誰ですか?」
「…覚えてない…
まぁ10年近くも会って無かったからね…」
…10年
…伊舞さんが中学の頃かな…
「あの…店長?」
「えっ…なに隆之君」
「注文は…」
「ああ!
忘れてた…
えっと…裏5つね」
「…裏ってなに?」
「裏メニューだよ…店長が作ったんだよ」
「あの…あなたは?」
「覚えてないか…
まぁファンかな」
…伊舞さんの!?
「スゴかったよ…
中学生なのにナンバして来た高校生を…投げ飛ばしてさ…」
…スゴいな…
「…なんでそれを?」
「僕はそんなキミを見て…
ファンになったんだよ」
ただの変なおっさんだよな…
「…本当に誰ですか?」
「やっぱり覚えてないか…
ここの牛丼を食べればきっと思い出すさ…」
そう店長さんが言うのを無視して…
隆兄が…
「…なぁ 美希…
…そのコ誰?」
「えっ…ああ、
さくらちゃんよ…」
「さくらってこの前言ってた…あのコ?」
「うん、そのコ」
「…可愛いな…」
隆兄がそう言ってさくらの顔を覗き込んだときに、
さくらが目を覚ました…。
「…牛丼!
…アレ?
…隆兄ちゃん?」
ちなみにさくらは今、姉ちゃんの膝の上にいる…
「ひさしぶりだな…
…さくらちゃん」
隆兄がそう言うと…俺の携帯にメールが…
「かわいいよ〜
俺…持って帰りたい!」
隆兄の心の声らしい…
「裏牛丼お持ちしました〜」
店員さんが牛丼を持って来た。
「美味しそう〜」
「いいニオイ~」
そんなコトを皆が言う中さくらは…
「コレが牛丼と言うものか!!」
…感動していた…。
伊舞さんは牛丼を食べると突然…
「この味は…
…牛丼のおじさん?」
すると店長さんは泣きながら…
「やっと思い出してくれたね…」
…それから店長さんは伊舞さんのコトを話し始めた…
「僕はね…
伊舞ちゃんを応援したかったんだよ…でも当時は料理見習いでね。
だから安く済む牛丼を試合の時にこっそりと卓人くんに渡してたんだよ…。
それを笑顔で食べる伊舞ちゃんを見て…
人を笑顔にする牛丼を作りたいって思ったんだよ。
最後の試合の日に卓人くんが伊舞ちゃんに合わせてくれてさ…」
「…僕はあなたのおかげで元気をもらいました。
だから…僕もあなたに元気を届けたいです!
…ありがとう!」
「伊舞ちゃん…なんで?」
「思い出したのよ…
あの時は…
変な人だなぁって思ったけど…
…夢叶えたんですね」
「いや…まだ夢の途中さ…
ここの店長になったばっかりだしね…」
「自分の店で笑顔を…
出せるといいですね…」
「うん、それがあの手紙の本当の意味だから…」
店長さんと伊舞さんはこんな会話を交わしていた…。
さくらは凄い勢いで牛丼を平らげ
笑顔になっていた…
店長さんの夢は少しずつ叶っていく…
自分の牛丼を食べて笑顔になる人がいる限り…。




