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飼い犬の一日

作者: 大森 春近

 チュンチュン

小鳥のさえずりで目を覚ます。

家(小屋)から出ると外はまだ薄暗くひんやりとした空気が漂っている。今日も清々しい朝だ。


 我の所属している群れの数は我を含めて四頭。リーダーは我よりも随分大きい女で、副リーダーはそれよりさらに大きい男だ。力は男が一番強いと思うのだが何故か副リーダーという地位に甘んじている。不思議だ。この二人と我とでは体のサイズに大きな差があるためいつも我が見上げる形になる。我もいつかあのぐらい大きくなれるのだろうか?


「ポチ、起きてる~?朝ごはんだよ~」


 そして最後が我とリーダーのちょうど中間ぐらいの大きさの少女だ。群れでの順位は我の方が少し上。こうして毎朝、健気にご飯を差し出してくるなかなか可愛げのある奴だ。ふっふっふ、もう少し我を撫でてもいいのだぞ?


 いつもは朝から何処かに出かける少女だが本日は休みらしい。ということは今日の散歩の相方は彼女になるだろう。その時が来るまでおとなしくしておこう。



「ポチ、散歩にいくよ~。」


 ようやくか。先ほどから体がうずいてしかたない。ええい、早くしないか!

少女を急かしながら歩きようやく広場に到着する。すると少女が小さな丸い物体を取り出し


「ポチ、いっくよ~。」


 放り投げられたそれを見て夢中で走りより口に銜える。衝動的に体を動かすことの出来るこの運動はとても気持ちが良い。少女の下に戻ると撫でてきた。どうやら彼女は我を撫でるのが好きらしい。我は心が広いのでその行為を受け入れている。

 もう少し下…そうそう、顎の下を念入りに頼む………わふぅ


「ポチ、もう一度。それっ!」


 再び放り投げられたそれに向かって走りだした。


 家に戻る時には日がかなり高いところまで昇っていた。運動で程よく疲れたから気持ちよく昼寝が出来そうだ。


 しばらくすると、チャイムが鳴る。


「宅配便です。」


 知らない奴が門の前にいるようだ。まさか、我らの群れの縄張りに侵入する気か!そんなことはさせん、立ち去れ。

 我は吠えて威嚇をする。


 「こら、ポチ吠えちゃだめでしょ。向こうに行ってなさい。」


 リーダーに叱られた。なぜだ?

次はリーダーが来る前に追い散らしてやろう。


 と、再びチャイムが鳴る。次こそはといきこんで門の所に行くと顔見知りがいた。よく少女と一緒にいる子だ。他の群れのメンバーだとしても親しくしている者に吠え掛かったりはしない。


「ポチ久しぶり。」


 ふむ、少女ほどではないがだいぶ撫でるのが上手になってきたではないか。この調子で励むといい。


 

 夕食を食べ終わり日が落ちるとすることがなくなる。明日に備えて寝るとするか。

家(小屋)に入り目を閉じる。


 明日はどのような一日になるのだろうか…

小さい頃、野良犬三匹に追いかけられたことがあります。

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― 新着の感想 ―
[一言] ほのぼのしてますね。 犬は一緒に居るとなんだか和みます。
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