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結婚式は、それは豪勢なものだった。
ここでは書き連ねることができないほどだ。
終わってから私は、最初の部屋に居た。
「さて、そろそろかな」
「そろそろって?」
「向こうに帰る時間さ。こっちに来て、もう2時間ってところか。披露宴はまた別途行うことになっているから、問題ないだろ」
勇者が言うと、すぐに魔王が口を挟む。
「執事が来たようだ」
執事は、魔王が言ってからドアを開けて中に入った。
「両殿下、ご準備が整いました」
「今度は、向こうの世界を引っこ抜かないわよね」
私は彼らに聞いた。
「大丈夫。今度は失敗しないよ」
勇者が言ってくれたが、やはりちょっと心配だ。
「じゃあ、行くよ」
私の左右の手を握り、それぞれが扉の前に立つ。
ここから向こうへと帰るらしい。
「これからも頼むよ」
「こちらこそ」
魔王に言われ、私は微笑んだ。
それから、俺たちは元の世界、俺にとっての元の世界に戻ることができた。
今度は特になにも問題はなかった。
一番の不思議と言えば、俺はいなかったのにもかかわらず、誰もそれに気付かなかったこと。
それどころか、普通に学校に出席していることになっているし、何事もなかったかのように生活が続いていた。
俺は確かにこちらに戻ると同時に男の体を取り戻し、魔王と勇者は女に戻った。
そして、俺は日々の生活へと戻った。
いつも通り、魔王と勇者に結婚、結婚と言われ続ける、懐かしい日々に。
結局、宇宙が覚えているという言葉の意味が分かるのは、数年の歳月が必要だった。
それは、俺が向こうで子作りをして、しっかりと妊娠してから分かった。
こちらに来ると、何事もなかったかのように、体重だけが増えて、体型はそのままだった。
だが、向こうへ行くと、しっかりとお腹が子供の分だけ大きくなっている。
そのことらしかった。
それが分かったからと言って、俺の生活が変わったわけではない。
ああ、ちなみに言っておくと、俺は結局、大学に入ってから魔王と結婚した。
でも、勇者とも同居している。
そんな傍目からみればややこしい感じなのだが、3人の子供に恵まれて、なかなか楽しい生活を送っている。