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「よくぞ帰ってきた、息子よ」
彼らの父親は、上半身を金縷玉衣のようなもので身を包み、下半身は絹を赤色で染めたものを着ていた。
どうやら金糸も入っているようで、私たちが彼に近づくたびに、キラキラと綺麗に光り輝いている。
「父上、我々は、大義を果たしてきました」
彼が座っている玉座も金で出来るているようだが、持っている30cmのバトンのような杖は、銀でできているようだ。
「うむ、そのようだな」
やっと彼が立ち上がると、5段の階段を、音を立てながら降りてきた。
「して、彼女が妻か」
私に話が振られると、私はうなづいた。
「はい、二人の妻です」
「そうか、大変だが、それでいいのだな」
「はい」
私は断固たる決意で答えた。
「よろしい、ならば、そなたらを夫婦としよう。二重婚であることを宣言する。披露宴は後刻執り行う。では、一旦下がってよい」
「はっ」
二人とも頭を下げ、すぐにクルリと彼に背を向けて、部屋から出た。