プロローグ
俺は、どこにでもいるような、普通の高校生だ。
いや、だった、が適切か。
今や、自称魔王とか自称勇者とかいう女子に付きまとわれている。
いつの間にやら高校にも入っていて、俺の心休まるところはない。
始まりは、世界の大都市圏の6か所が、突如として変わってしまった時から始まる。
日本の東京もそのうちのひとつであり、今では巨大な廃棄物集積場となってしまっている。
教科書では、隔離区域と言われている地区だ。
それから世界は、これらの廃棄物についての話し合いを行って、国連を改組して連邦政府を樹立させることとなった。
一方で、連邦であるから、これまでの国は規模や権限は縮小されたものの、存続している。
そのうちの一つ、日本に俺は住んでいる。
すでに20年も昔のことで、俺は当時のことは詳しくは知らないが、昔は、異世界から軍隊がやってきて人類を滅ぼすとか、このまま隔離区域が広がり続け、地球が滅亡するとかいわれていたらしい。
だが、いくらまっても、各陸域は大きくなることはなく、誰かが攻めてくるということもなかった。
人々は、隔離区域の存在を受け入れて、今では何事もなかったかのように生活を続けている。
でも、俺は、本当は来ていることを知っている。
それも、二人も来ているのだ。
彼女らからは、誰にも言うなと言われているが、すでに学校の半分ぐらいは気づいているだろう。
そしてもう半分は気づかないふりをしているのだろう。
なにせ、それほどまでに、彼女たちの存在は、俺たちと違っているのだから。
姿かたちが同じでも、中身が違うのだから。