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Detective  作者: 土水一日
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第一話 理由 問題編(1)

「今日俺んちに来ないっすか?」

彼――一橋はいつもつるんでいる私――東宮(ひがしみや)、高嶺、清水、水原、宮門の五人にこう誘った。今日は一学期の締めくくりたる終業式があったので、午後が空いているのだ。

「行かせてもらうわ」と私。

「暇だからね」と高嶺。

「高嶺君が行くなら」と清水。ちなみに彼女と高峰は付き合っている。見ているこちらとしては暑苦しくて仕方がない。

「じゃあ俺も行くわ」と水原。高峰の親友で、なぜか清水からはライバル視されている。正直見ていて楽しい。

「悪い。夏休み前に宿題を終わらせたいんだ。終わり次第――そうだな、四十五分ぐらいで行かせてもらおう」と宮門。彼は去年、つまり高一の時に、夏休み前に宿題を終わらせた伝説の持ち主だ。今年もそうするつもりなのだろう

「じゃあ一時に集合ということで。また後で会おうっす」

この言葉で宮門以外のメンバーが一橋宅へと向かい、宮門だけが帰路へとつく。私は、話す事があったので、宮門を追った。

「今日は遊べないはずじゃ無かったの?」

今朝彼は、宿題を終わらせたいから、と彼女である私からの誘いを断ったというのに、先程の答えだ。寛容な私でも問い詰められずにはいられない。

「朝の読書の時間で予想以上に出来てね、あと後少しで終わりそうなんだ」

何でもないという風に、足を止めて答える。

「それでも遊べるっていう機会はあったんじゃない?」

「その機会を使って宿題をしてたんだよ」

私の追求をのらりくらりとやり過ごす。さすがに成績と知識量がトップクラスなだけあって頭の回転が速い。

だが、私は成績トップなのだ。いくら彼氏といえど負ける気は毛頭ない。

「私に話し掛けるのには三十秒もあれば十分なのに、話し掛けられなかったって事は相当切羽詰まっていたのよね?」

Yesと答えれば後少しで宿題が終わるというのがおかしくなってしまうが、先程終わらせ遊びに行くと言ったのだ。よって、Yesと言う事は出来ない。勿論Noと言えば、ボコボコだ。

「……俺の負けか。申し訳ありませんでした」

「よろしい。以後気をつけるように」

彼は少し考え込んで、

「何を?」

「情報の訂正は早めに行うこと、そして」

「そして?」

「私に勝負を仕掛けるのは絶対に負けない自信がある時だけにすること」

「それ、俺に勝負するなって言ってるのと同じだぞ?」

うめくように言われた。

「私に勝負を挑もうなんて考えなくていいのよ。どうせ負けるんだから」

「分かりましたよお嬢様」

「素直でよろしい」 本当の所を言うと、何時か負けてしまいそうだから勝負しないようにするためだけど。なぜなら、この宮門が好むのは圧倒的に自分に有利な勝負なのだから。




「たまにはTVゲームだけじゃなくてトランプとかしてみないっすか?」

レースゲームで七連敗を喫した一橋がパシリ口調で提案した。

一人一人賛否を言っていく。結果は三対二で可決。最初のゲームはポーカーだった。ふふ、ギャンブラーの血が騒ぐわ。




「ぐ、トウグウ、お前強すぎっす」

十戦ほどしてうめくように一橋が私に言った。他の面子も頷いている。

「一橋、あんたの手札はブタでしょ」

「ちょ、ま、あなたはエスパーですか!?」

ワンペアかブタかのどちらかとは踏んでいたがどうも当たりのようだ。やれやれ、ポーカーフェイスのまね事も出来ないのだろうか?

「ついでに清水、たんたは……そうね、ツーペアかしら?」

「ぎくっ!? にゃんで分かったの!?」 放送部の癖に言葉を噛む清水。これが驚愕の為ならともかく、普段からこれなのだから不思議だ。余談だが、文芸部のくせに日本語――特に漢字が苦手だったりするし、会話の途中で謎の擬音を混ぜたり、高峰に変質者みたいな行動をするので、宮門からは不思議生命体などと呼ばれている。

「高峰あんたはワンペアね」

「はっ、残念でした。俺はツーペ――やべ!」

普段はぶっきらぼうだが、ときたま本音が漏れる高峰らしいミスだ。わざわざ断定口調で言ったかいがある。

「最後に水原、あんたはフラッシュね?」

「……当たり」

短く結果だけを告げてくる。余計なことを言って自爆した高峰とは大違いだ。だが、まだまだまだまだ甘い。

水原の手札に関しては、候補が絞りきれなかったので適当に言った。水原のポーカーフェイスが一瞬解けて、眉がピクリと動き不安げな表情が見えたのでフラッシュよりも弱い手なのだろう。

「親は私だったわね? 当然レイズするわ。そうね、このぐらいいきましょうか」

そう言って、私は手持ちの半分ぐらい、他のメンバーのほぼ全部に相当する量を賭けた。

「さあ、どうぞ。コールなりレイズなりドロップなり好きなようにしなさい」

先ほどフラッシュなどという強めの手を選んだのには理由がある。水原ならば外れていても当たりと言うだろうし、その上で私が強気に出れば私の手はフラッシュ以上ということになる。順当に行くならば、相手はドロップするだろう。

私の計画通りに一橋、高峰、清水がドロップする。残りは水原だけだ。

「……レイズ」

水原は手持ちのコインの全てを賭けてきた。きっと、私が手札を強く見せる為に、つまりは本来の手札が弱いことを隠すために先程のようなことをしたと読んだのだろう。さすがは水原だ。

「お前正気か?」

安全策をとって降りた高峰が水原に問い掛ける。

「このままじゃ負けるだけだからな」

私との大差を埋めるためにまさしく賭けに出たのだ。タイミングも申し分ない。宮門ならば負けていただろう。惜しむらくは、宮門ではなく私が相手だったことだ。

「俺はスリーカード。どうだ?」

「残念。ストレートよ」


ずいぶんと久しぶりの投稿になりましたね……


まあ就職活動とか自動車学校とか、モンハンとかメタルギアで忙しかったんですよ


楽しみにしてた方、ごめんなさいm(_ _)m


もうちょいで社会人なので更新ペースは落ちそうですが、出来るだけ待たせないように頑張りたいです……自信ないけど

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