裸の付き合い
「はあはあ‥ここまで、来れば大丈夫だろう」
俺は捕らわれていた姫を抱きかかえ走り
崖に掛かった吊り橋の前まできた
ゲームでやった時と同じマップルート、更には、この疲労感
これで否が応でもゲームの世界に転生した事を実感する
そして、本来なら橋の前で主人公が姫を守る為に戦うシーンが起こるが、まだ役者は到着していない
と言う事は、コチラに主人公君が向かっているはず
更には序盤のこのマップにはモンスターは存在していない
「この先に帝国軍の騎士がいるはずだ」
俺は姫を下ろすと橋を指差して言った
「な、なんで?」
何が起こったのかよく分からず困惑するネイルたん
その顔を見て安心させる様に笑顔で
「ふっ‥推しの幸せが俺の幸せだからだ」
「おし?」
おっと、ここで仲良くなってしまったりするとストーリーの展開にも影響が出るかも知れん、モブ蛮族はクールに去るぜ
「何でもない‥さあ早く行け」
と言った直後だ
斧スキルを発動します、と機械的な声が聞こえると同時に
ガキンッと音が鳴り草むらから現れた光り輝く白い鎧を着た騎士の剣を斧がガードする
斧ガード‥命の危機を察した時に斧が自動的に主を守る
「バカな完全に不意をついたはずなのに」
そう言ったのはギラギラした狂信的な目つきをした赤髪の少年、主人公君だ!
フッハッホッ
そんな事を思っている間にも有無を言わさず連続して斬りつけてくる
俺は何とか斧ガードによって防いでいる
思えば、主人公君は、この時は教会の言いなりになっていて
教会関係者以外とは
[基本的に会話するな邪魔なら即殺せ!黙殺斬!]
と言われていて、常に返り血を浴びていた事から沈黙の赤い新聖と呼ばれていた頃か
等と考える余裕もあるほどだ
「ネイル姫、無事か?」
「いや、あの」
「蛮族め!姫から離れろ」
「おっと」
俺は咄嗟に握ってしまっていたネイルたんから手を離す‥ああ、小さくて冷たい手だったなと思う余裕があるほどだ
「いきなり斬り掛かってくるとはなあ‥ふん、その女を連れて早く去れ」
と謎の強者ムーブをとる
「なに!?」
と、言い困惑しながらも構えを解かず
隙あらば斬り掛かって来ようとしている主人公君
この時の主人公はレベルが低い物の、装備だけは教会から支給されていたゲーム後半に出てくる聖騎士がしていた装備なので無茶苦茶強い‥
まあ、主人公君が姫の見張りとして魔法学園に入る時には、回収されて他の魔法学園の生徒と同じ雑魚装備へと変わってしまうのだがね、閑話休題
そうは言っても兎も角攻撃力と殺意が高い‥いくら俺が斧スキルマスターとは言っても初期の鉄の斧とゲーム後半の神聖騎士が持っているマスターソードでは武器の耐久力が違いすぎるから斧ももたないだろう、オーノー!
「この人は敵じゃないの!と言うよりまだ子供なのよ」
「姫は騙されている!どう見てもオッサンだろ!」
そりゃそうだ、俺は痩せてはいるが薄っすら筋肉は付いているし、なんならチョビ髭も生えているのだ!
高校生くらいの子から見たら間違いなくオッサンだわ
「いや、でも、あの下半‥いや本当に子供なのよ!」
下半身‥そうかその手があった!
致し方ない、このままでは埒があかない!
薩長同盟の会合で殺し合い寸前になった時に偉人がやったと言われる必殺技を使う!
俺は恥も外聞もズボンも捨て去ると
「トモダチン◯」
素早くレオンの手を握り可愛いゾウさんを握らせた
「な、なにをする!」
バッと俺のチンチラから手を離すレオン
「これは我が部族に伝わる友好の挨拶だ」
俺は下半身を丸出しにしたまま武器をすて両腰に手をやってエッヘンとポーズをとりながら言った
よく知らんけど、そういう事にしとけば確認なんか出来ないだろう
「ハァハァ‥男同士でそんな事するなんて」
え?
何やら興奮した様子の、ネイルたん?
「ともかくこれで俺に敵意が無いことは伝わっただろう?」
「た、たしかに‥襲おうと思ってもこれでは何も出来ないだろうことは分かった」
グサッ転生したばかりで小学生とは分かっていても、一物が粗末ですねと間接的に言われるのは答えるぜ
「ふん!興が冷めた‥戻るぞ姫」
と言って姫の手を握り、主人公君と2人で橋を渡って移動しようとした時
「ちょっと待ったー!」
と声が聞こえてきた




