第7話「勇気の心が世界を照らす!勇気は世界の青信号!勇者[ブレイバー]ここに見参!」
「カモン! 【ブレイバー】!」
その言葉とともに左腕のブレスレットから、眩しいほどの光が解き放たれ。
光の中から1体の巨大ロボが出現する――!
それは黒のフレームに、青・白・赤・黄のヒロイックな装甲をまとった、超カッコいい勇者ロボ!
超勇者王ブレイブレイバーの主役勇者ロボ、[ブレイバー]だ!
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説明しよう!
心に満ちる勇気が限界を越えた時、新たな勇者ロボが顕現する!
それがこのブレイブ・リミットブレイクなのである!
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「本当に出た……! 勇者ロボだ……!」
その勇姿に思わず見とれてしまう俺。
『なっ!? いったいどこから沸いて出てきたのですか!?』
今まさに剣を振り下ろさんとしていた[ブラックハウンド]から、ドクター・トコヤミの驚きの声が聞こえてきて、俺は我に返った。
「おっとと、見とれている場合じゃないぞ。勇者ロボを呼び出したらあとはもうすることは決まっているよな! ってわけで、行くぞ! ブレイブ・イン! [ブレイバー]!!」
掛け声とともに、俺の身体が光の粒子に包まれ、[ブレイバー]の内部に吸い込まれるようにして転移する。
光が消えるとそこはもうコクピットの中だった。
パイロットシートに座った俺の前方、上、左右を覆うように継ぎ目のない球体型モニターが配置されていて、外の様子をリアルタイムで映し出している。
ロボットの中にいながらまるで自分の目で見ているかのような感覚だ。
それはアニメで何度も何度も何度も何度も見た、[ブレイバー]のコクピットだった。
「マジかよ……! マジかよマジかよっ!」
まさかの展開に、さっきからもう俺の心臓はドキドキしっぱなしだ。
逸る気持ちを抑えきれずに、俺は目の前の操縦桿――ツインスティックをグッと握る。
初めて握った操縦桿は、まるで俺のために存在しているかのごとく、驚くほど手に馴染んだ。
とはいうもののだ。
「アニメと同じなら、[ブレイバー]のメイン制御方法は、思考制御だよな。つまり操騎士である俺の思った通りに[ブレイバー]が動いてくれるはずだ」
だから操縦桿は雰囲気で、押したり引いたりガチャればいいだけのはず。
こういうのは気持ちが大事だから!!
「――っと、その前にとても大切なことを忘れていたぞ……コホン」
俺は小さく咳ばらいをすると、深々と息を吸ってから、大きな声で見栄を切った!
「勇気の心が世界を照らす! 勇気は世界の青信号! 勇者[ブレイバー]ここに見参!」
俺が名乗りを上げると[ブレイバー]が両拳をグッと力強く握り、両肘を腰の横まで引いた。
さらには胸を張って両足で踏ん張る。
ポーズが決まると同時に、溢れ出た勇気の光が背後でドカーンと爆発した!
「き、決まった……!」
やっぱり勇者ロボといえば、登場シーンが大事だもんな!
膨大な作画コストが注ぎ込まれた登場バンクシーンは、必殺技と並んでロボットアニメの花形だぜ!(俺、大興奮中)
――などという深い満足感と大興奮を覚えながら、俺は正面――[ブラックハウンド]を見すえた。
すると、
『な、なんですの、その見たことのない魔導ロボは!? ブレイブ王国の新型ロボ? いえ、そもそもどこから現れたのです? 突然、姿を現しましたわ。それにその声、さっきわたくしを散々コケにしてくれた生意気な小童ですわね?』
[ブラックハウンド]の中から驚きつつも、冷静に分析をする声が聞こえてくる。
煽り耐性は皆無だったが、頭は結構よさそうだ。
まぁ自分でドクターとか言ってるしな。
「言っただろう! 俺は勇者[ブレイバー]! ブレイブ王国をこれ以上、おまえらの好きにはさせはしない! 行くぞ! とぅ!」
俺が操縦桿をグイっと押し込むと――実際は俺の意思を受けて――[ブレイバー]が動き出した!