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第6話「カモン!【ブレイバー】!」

「はん! 動けない相手に必殺技でオーバーキルとか、それがダサくなくてなんだってんだ!」


「また言いましたわね、この平民の小童(こわっぱ)が!」


「何度でも言ってやるよ、このダサダサダサダサダササロボが!」


「このっっっっ!! 許しませんわ許しませんわ許しませんわ! わたくし侮辱罪でまずは貴方から葬り去ってくれますわよ!」


 [ブラックハウンド]が大きく剣を振りかぶった。

 その剣は既に暗黒の魔力を大量にまとっている。


 あ、死んだな。

 俺は死を直感した。


 でも、その甲斐はあった。

 チラリと横目[パラディン]を見ると、コクピットハッチがかなり開いているのが見える。

 もう少しでなんとか人が一人、逃げ出すためのスペースを確保できるはず。


 時間稼ぎは十分成功した。

 俺が生き残るより、騎士団のエース操騎士(パイロット)が生き残る方が、一億万倍、未来は明るい。


 この勝負、俺の勝ちだ。

 

 もちろん怖くないと言えば嘘になる。

 せっかく手にした2度目の生を、あっさりとまた失うのだから。

 ぶっちゃけめちゃくちゃ怖い。


 事実、俺の目には死への恐怖で涙が浮かんでいる。

 さっきから涙を堪えるのにもう必死だった。


 でも、それでも。


「俺の勇気が未来につながるんだ。調子乗っていられるのも今の間だけだぜクソダサロボ」


 俺はそのことがとても誇りに思えていた。


 そして絶対に泣いてやるもんかと、こぼれそうになった涙を左手で拭おうとして――俺は自分の左手首がキラキラと輝く光の粒子に包まれていることに気が付いた。


「な、なんだ!? 何が起こって――くっ、眩しい……っ!!」


 しばらくキラキラと輝いていた光が収まると、俺の左手首にはエメラルドグリーンの宝石がはまった、黄金のブレスレットが装着されていた。


「これってデラックスセットにも入ってた、超勇者王ブレイブレイバーのなりきりブレスレットじゃんか。なんで俺の腕に突然こんなものが現れたんだ?」


 子供の頃にアニメを録画したビデオテープが擦り切れるまで見返した俺だ。

 今更、そんな超基本アイテムを見間違えるはずもない。


 これは主人公の少年ダイチが身に着けていた、ブレイブレイバーを呼び出すための勇者ブレスレットだった。


 まるで俺の疑問に答えるかのように、勇者ブレスレットがキン、キンと2回明滅する。

 これまたアニメそっくりそのままの反応だ。


「まさかいるのか、そこに――」


 ドクドクドクドクと、俺の心臓が猛烈な早鐘を打ち始めた。


 まさかそんな。

 いや、でも。


 キン、キンとまたもや勇者ブレスレットが2回明滅する。


 まるで俺の背中を押そうとしているような、その光に誘われるようにして、俺は子供の頃に何度も練習した通りに、左腕を天に向かって突き上げた!


 そして勇気の言葉(ブレイブ・ワード)を口にする!


「カモン! 【ブレイバー】!」


 その言葉とともに左腕のブレスレットから、眩しいほどのキラキラが解き放たれ。

 光の中から1体の巨大ロボが出現した――!

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