表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/20

第3話 パラディン vs ブラックハウンド

「ちょ、ヤバいってこれ! マジで魔導ロボに踏み潰されて死ぬぞ俺!?」


『くっ、ぐうぅっ!』

『おほほほほほっ! 己の弱さに絶望しながらスクラップとなりなさいなっ!』


 だが逃げようにも、どこへ逃げろってんだ!?

 今も目の前にあった半壊していた建物に、[パラディン]が頭から突っ込んで、


 ズドン!

 ガラガラドッシャーンン!


 建物の残っていた部分が、土煙を上げながら完全に崩壊した。


 激しい衝撃の余波を受けて転倒してしまった俺のすぐ目の前に、[パラディン]の左手が上から落ちてくる。


「ひえええぇっっっ!?!?」


 しかし運よく[パラディン]の親指と人差し指の間にいた俺は、なんとか九死に一生を得ることができた。

 だが下手したら今の一瞬で、俺はぺしゃんこになっているところだった。


 と、そこで[パラディン]の頭部のツインアイが、俺を見たような動きを見せた。


『なっ!? 民間人!? そんな、この地区の避難誘導は完了しているはずじゃ──』

 続けて操騎士(パイロット)の焦った声が聞こえてくる。


 それ自体はいたって普通の反応だったと思うんだが、しかしそのことがドクター・トコヤミの逆鱗に触れてしまった。


『ちょっとあなた! 戦いの最中にいったいどこを見ていますの! 戦闘中にわたくしと我が愛機[ブラックハウンド]を見ないとは、有象無象のポンコツ雑魚ロボの分際で生意気ですわよ! その罪、万死に値しますわ!」


 尻もち状態の[パラディン]に向かって、[ブラックハウンド]が両手で剣を振りかぶって突っ込んでくる。


『ま、待ちなさい! 逃げ遅れた民間人が近くにいるんです!』


『そんなものに興味はありませんわ! わたくしの最高傑作たる[ブラックハウンド]を無視した罪を今すぐ償わせてさしあげます!!』


『くっ――! このままじゃ――』


 [パラディン]は立ち上がると、俺を庇うように前に出て、[ブラックハウンド]の剣を、右手の剣で受けとめた。


 激しい火花を散らしながら、かろうじて初撃こそ止めたものの、


『ふふふ、どうしました? もはや手も足もでないようですわね?』


 ギャン!

 ギン!

 ギャギャギン!


『く、くぅぅぅぅ――!』


『そらそら、すっかり動きが悪くなっていますわよ?』

『うぐ、あぐぅっ――!』


 既に左腕が使い物にならない[パラディン]は一方的に攻撃を受け続け、ついに片膝を地面についてしまう。


 ガキィン!

 さらには右手の剣が跳ね飛ばされてしまい、無防備になったところを派手に蹴り飛ばされ、[パラディン]の巨体は建物の残骸を吹き飛ばしながらゴロゴロと転がり、俺に腹を見せるように横向きで、完全に動かなくなってしまった。


『ふぅ……。最後はなかなかの粘りでしたけれっど、しょせんは旧世代のポンコツですわね。これが限界、勝負ありですわ。さすがはわたくしの[ブラックハウンド]。世界最強の魔導ロボですわね』


『くっ……! ぐ……!』


『ですがわたくしは、なかなかに満足いたしましたわ。ゆえにその奮闘ぶりに免じて、[ブラックハウンド]の誇る必殺の一撃を受ける権利を与えて差し上げましょう。ブラックハウンド・ソード、魔力充填開始ですわ!』


 その言葉とともに、[ブラックハウンド]が正眼に構えた剣に、漆黒の魔力がどんどんと集まり始めた。

 魔力をチャージして強烈な必殺の一撃を放とうというのだ。


 もはや勝敗は完全に決していた。


『そこの民間人、今のうちに逃げてください。ヤツの狙いはこの機体です。だからなるべくこの機体から離れて、距離をとってください』


 それを見て、[パラディン]の操騎士(パイロット)が俺に「逃げろ」と告げた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ