表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/20

第11話『疾風の姫騎士』シャーロット・アルビオン

「これは失礼しました。私はブレイブ王国・親衛騎士団の団長を務めますシャーロット・アルビオンと申します。以後、お見知りおきを、勇者ユーキ・イサミ様」


 姫騎士さん――シャーロット・アルビオンはそう名乗ると、美しい所作の騎士礼を見せた。


「綺麗なロングの金髪はなんとなく見たことがあるなって思ったら、あの有名なシャーロット団長さんか! 俺、去年の建国記念パレードで見たよ! って言っても、群衆の後ろの方からだから、顔とかまでは見えなかったんだけどさ」


 ブレイブ王国の建国を祝う年に1度の大パレードで、魔導ロボ――特に親衛騎士団仕様のツノあり[パラディン]は目玉中の目玉だ。

 その時に操騎士(パイロット)がオート歩行させた[パラディン]の手の平に乗りながら、周囲に手を振るのが恒例となっているのだ。


 もちろん、普段はほとんど見ることができない[パラディン]と操騎士(パイロット)が見れるとあって、それはもうものすごい人出だったので、俺は遠目からしか見られなかった。


 なので操騎士(パイロット)の顔までははっきりとは見えなかったのだが。

 それでも団長と紹介されたまだ若く、長く美しい金髪の操騎士(パイロット)がいたことは、はっきりと覚えていた。


「勇者ユーキ・イサミ様にお名前を知っていただいていたとは、光栄です」


「そりゃ名前くらい知ってるっての。この国じゃ王家の次に有名な人物だろ? 『疾風の姫騎士』の二つ名は近隣諸国まで鳴り響いてるって話だし。『ブレイブ王国に翼の騎士あり。疾風をまとう美しき姫騎士に、触れらる者この世になし』ってね」


 俺は吟遊詩人たちがよく弾き語りをしている有名な一節を口にした。


 なんでもシャーロット団長は風魔法の使い手だそうで、シャーロット団長の駆る[パラディン]は風魔法による圧倒的な機動力でもって、相手を翻弄し、敵に触れらることなく勝ってしまうのだと言う。


 しかしその名前を出した途端に、シャーロット団長の顔が真っ赤になった。


「そ、その二つ名で呼ぶのはやめてください」

「え、なんで? めちゃくちゃカッコいい二つ名じゃん?」


「いつの間にかそう呼ばれるようになってしまっただけなんです」

「そうなのか? でも相手に触れられずに勝っちゃうんだろ? すごくないか?」


「あれは意図的に誇張して言っているだけで、実際の戦闘ではそんな一方的に相手を倒すなんてことはありませんから」


「あ、そうなんだ。まぁちょっとくらいは話を盛ったほうが、盛り上がっておひねりも増えるもんな」

 吟遊詩人ってのはそういうお仕事だ。


「それももちろんありますが、ある種のプロパガンダですね」


「プロパガンダってことは、あれか。他国に対しての牽制ってことか。ブレイブ王国にはこんな強い操騎士(パイロット)と魔導ロボがいるんですよ、攻めてきたらひどい目に合いますよっていう」


「一言プロパガンダと言っただけで、そこまで理解されるとは。その若さで政治・軍事的な素養までお餅とは、さすがは勇者様です」


 シャーロット団長が感心したようにうなずいた。

 キラキラした目で俺を見ている。


「こ、こほん……ま、まぁな」


 あまりにキラキラした瞳をしていたので、前世の日本で見たロボットアニメ――特にガンダムとかマクロスあたりから得た薄っぺらいにわか軍事知識だとは、ちょっと言いづらい俺だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ