過去の記憶
その本は震えながら、過去の映像らしきものを映し出した。
最初は中世っぽい街。
少女がこれと同じ本を拾って開いている。
すると、空から黒い影が少女の目の前へ降りてきて、しばらく何かを脅している。次の瞬間、彼女の体は裂けるように引きちぎられた。
影は長いローブを着ていて、顔ははフードのせいでよく見えなかった。しかし、目には狂気じみた光を宿している。
場面が変わった。
次は森の中だ。
長身の男が本を手に持った瞬間、地面から黒い手が伸びてきて、彼を床に叩きつける。影が現れ、「ハンナはどこだ」と叫ぶ。返事がないと、影はその男の首を即座にへし折った。
最後は現代の街。年老いた女が本を開いた途端、影が背後に現れて、しばらくした後、彼女の胸を魔法の刃で貫いた。
ここでも「ハンナはどこだ」と低く唸りながら、女が死に絶えるのを冷たく見下ろしている。
全部、この本を手にした人間たちだ。
そして全員、この「影」に殺されている。
なんだこれ、、、?
だいぶまずいことになったな。
「記憶」が写り終わると、本は次のページを開いた。
そこには名前が刻まれていた。
「Elina,1472」
「Yohan,1698」
「Misato,1985」
最後に「Tsumire」と僕の名前が浮かんだが、まだ何も起こっていない。
なんだったんだ、、、あの映像。
それにこれ、僕殺されるじゃん、、、
あの影みたいなのがふわって来て、、、
あー終わった。
人生終了。
ってかあの影なんなんだよ。
人殺して何が面白いんだよ、、、
それになんか探してた。
ハンナってやつが気になるな、、、
僕がぶつくさ独り言を言っていると、その本はパタリと閉じた。
さっき破けた紙が僕の前にひらひらと落ちる。
そこには、「Tsumire, THE SHIELDED ONE」と文字がまた浮かんだ。
なんだこれは読めるな。
なになに、、、守られた者?
意味わからん。
謎が深まるばかりだ。
だが、その日はそれ以上不思議な出来事は起こらなかった。
というか、そこから1週間、まるでこの出来事が夢だったかのように何も起こらなかった。




