三人
ジュリアンは神器の一つである三叉の鉾を天に翳した。
させじと超スピードでジュリアンの懐に入るスルト。
鉾と剣がかち合い火花が爆ぜる。
一方、パトラは小さな体を震わせて混乱していた。
──わたしが…悪魔?
──嘘。
パトラは迷いを振り切るように長い呪文の詠唱を始めた。
カイは後方から防御魔法の呪印を床に施していた。
彼はまずマリアの安全を優先した。
そのマリアは苦悩するパトラに見惚れている…。
セーラは四枚の翼で天高く飛び上がり、無数の光線をジュリアンに向けて放つ。
しかしジュリアンのシールド、と言うよりもその皮膚組織がことごとくその攻撃を弾く。
カイが呪印を描き終わると、マリアとの周囲に氷の結界が張られた。
« 守護の魔法円 »
「マリア、この中にいれば大抵の衝撃には耐えられる。外には出るなよ」
「あの子……苦しそうだった。どうしたのかしら」
「マリアよ、聞いてくれ」
そうこうしているうちに、パトラが呪文の詠唱を終える。
瞬間、ジュリアンを包む空気中の水分が蒸発し出した。
(シュウゥゥゥ……)
「うおおっおい! 俺もいるんだぞ!」
スルトが素早く飛び退く。
« 灼熱爆霊!!!»
ジュリアンの纏うシールドを火と地の精霊たちが掻き破り、その周囲が超高熱に包まれる。
「こっ、この呪文は……(パァン!)」
云うや否やジュリアンの肉体は急速に変質、分解され、塵のレベルにまでバラバラに砕け散った。
(ズドォォォンッ!!!)
さらに熱エネルギーが臨界点を突破し一気に大爆発を起こす。
激しい衝撃と風圧で塔がガラガラと瓦解していく。
天高く聳えていたオルドの巨大な塔は完全に崩壊した。
セーラ達はみな生きてはいたが、瓦礫の山に埋もれてしまっていた。
その中には首だけ再生しているジュリアンもいた。
「人間の依代では防ぎきれなかったな」
ジュリアンは眉根を寄せて危惧した。
「あの少女もセーラ同様、危険な存在になる」
(とはいえ元は悪魔となり得た魂だが…)
「またしても余計な……レポートを書かねば、他の三人に」
ジュリアンはそう呟きながら溶けるように姿を消した。
カイたちもそれぞれ動き出していた。
「おいパトラ! 俺まで殺す気かよ」
埃を払いながらスルトが文句を言う。
「……」
パトラは体育座りをしたまま答えない。
「そうだ、ジュリアンは?」
バスローブ姿のセーラがカイやマリアと共に瓦礫の中を探すも、ジュリアンの姿は無かった。
「あの呪文をまともに食らって生きているはずがない」
スルトが自らの両肩を掴んで、えぐかったろ?と笑った。
「貴方たちは一体……」
セーラが恐る恐る訊く。
「あのゾンビが言っていたな。俺たちは元悪魔だと」
スルトがそう答えると、背を向けて座っていたパトラの身体がビクッと反応した。
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