寝言は起きて言いやがれ
「アナタ、また寝言を言っていましたよ?なんなんですかあのポッコスピア王国のパインパイン姫がどうたのこうたのって…部屋の外からも聞こえましたよ?夢で別の女の名前を出されて腹が立たない事もあるんですね」
「いやだって…まぁ夢の中だし僕だって冒険したって良いだろう?」
「アナタは良い歳でしょう…まあ夢に文句を言うのも悪い気がするのだけれど…」
「全くその通りだよ、君は今日は何をするの?」
「今日は午前中には仕事が終わるから午後は友達と映画を見てくるわね」
「へぇ、映画か、うん、映画ね。良いと思うよ、何を食べるの?」
「いきなり食べ物の話?そうねぇ…ポップコーンを食べようかしら、キャラメル味の、アナタも子供の時食べてたじゃない。」
「そうだね。美味しいんだろうね、映画でキャラメル味のポップコーンか、最高じゃないか」
「アナタってたまに何かこう…変な事聞くわよね?この前は冷蔵庫は軽いのか重いのかとか聞いてきたし」
「だって気になるじゃないか、重さって重要じゃない?」
「そうかしら…あまり動かさないと思うのだけれど…」
「仕組みも気になるよ、どうやってその…冷やすんだろうね」
「知らないわよ、ネットで調べたら?」
「う、うん!ネットね!調べてみるよ。」
「そろそろ会社に行く時間じゃないの?」
「そうだね、じゃあ会社に行こうかな、仕事をしに」
「他に何をしに行くのよ…じゃあパインパイン姫に宜しくね」
「おいおい、からかうなよ、本当になんでも無いって、じゃあ行ってくるね」
「行ってらっしゃい、晩御飯はカレーにするわね」
「うん、楽しみにしておくよ、カレーね、カレー」
そう言って僕は部屋を後にした。
部屋を出ると心配そうな執事に声をかけられる。
「奥様はまだ寝たままなのですか?」
「あぁ、寝言に返事をすると帰って来られなくなると言うのは本当らしい…なんとか改善策を探すよ、もう半年になるしな」
ポッコスピア王国のパインパイン姫の魔法なら何とかなるだろうけど…あの強欲な女に金貨を何枚要求されるか…今から気が重い。
しかし会社に映画にネットか…妻はどんな世界に生きているのだろうか…。
起きたら寝言について詳しく聞こう。
僕の王国の発展にも繋がるかも知れないな。
しかし夢の中で浮気などされたら目も当てられない!急がないとな!