食いしんぼ大公妃は初めての視察という名目の買い物に行って原石を見つける
マリーズたちは町をぶらぶらと歩きながら慰問先へ持って行くものを考えていた。
「そうだ、後は焼き菓子を買って行こうかしら?」
マリーズは目に入った焼き菓子店に近づいたが足が止まった。
店の看板にはバルベ侯爵領の家紋がついているからだ。どうやら隣から大公領に店を出しているようだ。
マリーズはその店を通り過ぎ少し行ったところにあった『小麦の香』という焼き菓子店に入った。
「あら、マリーズ様だわ!」
カウンター内に立っていたのは先程の食堂でステーキを追加注文していた女性だった。
「いらっしゃいませ!まさかお越しいただけるとは」
「ここはあなたのお店なの?」
「いいえ。両親の店です。私はその手伝いをしています。いずれ継ぎたいと思ってますが」
「そうなのね。店内中、良い香りね。匂いだけで食べたくなるわ」
「そう言っていただけると嬉しいです」
そして後ろに向かって叫んだ。
「お父さん!お母さん!大公妃さまが来られたわよ!」
「呼ばなくて良いわよ」
「いえいえ、さっきの話をしたら会ってみたいって言ってたんです」
奥からバタバタと足音が聞こえる。
「ユーリ、ほんとかい?大公妃様が来られたって!」
出てきたのは母親だ。少しタレ目な顔立ちが似ていてすぐに母娘とわかる。
続いてでてきたのは父親だ。
「こんな店にまで、いらっしゃいませ!」
「こんにちは。今から孤児院に慰問に行くんだけどその時の手土産を買いに来たの。量が多くなっても構わないかしら?」
「ええ、構いませんよ。今焼いている途中のもありますし」
「そうそう、何でしたら、試食なさいませんか?」
「良いんですか?」
「ええ、普段は新商品が出た時しかしないんですけど大公妃様にしたら全部新商品ですからね。ちょっとお待ちください」
母親は後ろの棚から小さなまな板とナイフ、それから小さなフォークを出した。
商品をいくつか出すと一口サイズに切ってフォークをどんどん刺していく。
「さあどうぞ。こちらが、一番よく出るフィナンシェです。こちらがレモンの果汁を絞った焼き菓子です」
すすめられるままに食べてみるとどちらも美味しかった。
「フィナンシェはバターの風味がもの凄く良いわね!」
「凄いですね!うちのバターは王国内の中央部から少し離れたところにあるアスラン侯爵領で作られているバターなんです。アスラン侯爵領のバターは国内でも人気が高い良いバターなんですけど、値段はそんなに高くはないんですよ。風味もよくて焼き菓子にピッタリなんですけど大公領には入ってこないので、時々主人が隣のバルベ侯爵領を越えて買いに行くんです」
「バルベ侯爵領にはないの?あこは畜産と酪農をやっているでしょ?」
「バルベ侯爵領のバターはちょっと風味が強すぎて主人が味に好き嫌いでるからと。大公領にはバルベ侯爵領のものしか入荷されませんし」
「なるほどね。こっちのレモンの方も酸味が効いててサッパリしていくらでも食べられそうね」
「では次はこちらをどうぞ。ドライフルーツのパウンドケーキなんですけど、全部大公領で採れた果物をうちでドライフルーツに加工して作っているんです」
「それは美味しそうね!」
マリーズはパクリと一口入れるとその美味しさに驚いた。
「初めて食べるドライフルーツばっかりなんだけど、ものすごく美味しいのね!このドライフルーツだけでも売れそうだわ。ああ、でもこのリキュールが効いたパウンドケーキの生地と相まって食べるのも捨てがたい。お店の看板商品はこれね!」
「ふふふ。娘から聞いていた通り本当に美味しそうに召し上がられるのですね。でも、看板商品はこちらではありません」
「ええ。違うの?」
「今お出ししますよ」
ドキドキしながら出てくるのを待つ。
「はい、こちらです」
マリーズはまたもパクリと口に入れるとその味を堪能した。
「ほのかに酸味があって、それでいて優しい甘い味。この甘さ砂糖じゃないわ。何だか食べたことがるようでないような。でもすごく美味しいわ。あ!もしかしてこの酸味、ポンガじゃない?」
「正解です!ポンガを絞った果汁ともちろん絞ったあとの実を生地に入れてあります。そして大公妃さまがおっしゃった甘味は、砂糖ではなく、メープルシロップを使っています」
「あ!そうだ!メープルシロップだわ!たまにうちの料理長が焼いてくれるパンケーキにかかっているのよ。ハチミツじゃなくてメープルシロップが。久しぶりに食べたから忘れてたわ」
他の四人も美味しいと絶賛している。
「これは確かに看板商品だわ。メープルシロップは大公領でとれるの?」
「いいえ。これは北の方から来た行商人から買えるものなので、冬場は中々来てくれないので作れないんです。もちろんポンガも時期が外れますけど。
ですから看板商品と言っても年中あるわけではないんです」
「そうなのね。どれも美味しかったわ。慰問用と夜のおやつ用に買って行きましょう」
すると何か期待するような目線でユーリが見ている。目が合うとユーリが恥ずかしそうに言ってきた。
「こんなお願いをするのは恐縮なんですが、もしうちのお菓子が気に入っていただけたなら、うちにも食堂で書いていたように大公妃お墨付きっていうのを書いてもらえませんか?」
「こらユーリ!!大公妃様に迷惑をかけてはダメよ」
「良いわよ。書くわ。だって気に入ったもの。ユーリ、書くもの持ってきてくれる?」
「はい!」
ユーリが奥へと走って行った。
「申し訳ありません。たまたま寄っていただいただけなのに」
「こういったものはご縁だわ。それにとても美味しかったもの。ポンガのお菓子は年中食べられなくてもドライフルーツのは食べられるの?」
「はい。そちらは年中召し上がれますよ。ドライフルーツの種類は変わりますが」
そこへ焼き窯に焼き菓子やパンを乗せて入れる時に使う金属の板とペンキを持ったユーリが戻ってきた。マリーズはそれにスラスラと書いていく。
「大公妃様は達筆でらっしゃいますね!」
「ありがとう。字には自信があるの。それに食堂でもここでも、軽々しく請け負って書いているわけではないの。下手な字は真似しやすいけど、自分で言うのもなんだけど、綺麗な字に少しクセをつけると真似しにくいのよ。
だから私が書いたものってすぐわかるかなって思って」
「確かにこれは簡単に真似できる字ではないですね。こんな字がキレイな方は初めてみました」
それまで黙っていた父親が感心したように言っている。
「さあ。商品を選びましょう」
マリーズが注文を始めるとユーリと母親が次々とショーケースから取り出して箱に詰めてくれる。その間にこちらも店内にあった飴をクロードがもらい棒を持って舐めている。
全てを詰めてもらい会計を終え店を出ると、ユーリが嬉しそうに店のどこにかけようか悩んでいるのに手を振って別れた。
「たくさん買ったわね。さあ聖堂に行きましょう。これからが本番よ」
馬車に戻ったマリーズはたくさんの荷物を乗せクロードが通う聖堂に向かった。
大公城の近くにある聖堂は子ども預り所とは別に孤児院がある。クロードは一旦預り所に預けマリーズたちは孤児院のある方へと向かった。
「大公妃様がお越しになられました。皆さんご挨拶しましょう」
優しい顔をした老齢の聖官長が言うと中にいた15人ほどが立ち上がり礼をした。しかしその中には不満そうな子もいるようだ。
「初めまして。マリーズです。今日は皆さんにお土産を持ってきました」
メグたちがおもちゃや本を机の上に並べた。それに小さなこどもたちがわっと寄ってくる。
しかし年の頃は13、4歳の少女と少年がこちらと遠目で見ていた。そしておもむろに言ってきた。
「いらない。あんた我儘公爵令嬢様なんだろ?こんなにおもちゃとか買ってきて、もう大公様のお金を使って点数稼ぎしているのか?」
「何てことを」
聖官長が止めようとするのをマリーズが止める。
「いいえ、これは私が王都を出る時に持ってきたお金で買ったものです。確かに大公家から大公妃用のお金が準備されることになるけど、まだ何もしていないのにそれを使うわけにはいかないから。
あと言いたいことはある?聞きたいことでも良いわよ」
聖官がおもちゃを子どもたちに渡しているのを横目にマリーズは椅子に座り少年たちに向き合った。
「本当はバルベ侯爵家のホラン様が大公妃になることになっていたのに割り込んだと聞きました。バルベ侯爵家は領地が隣で交流もあるからとホラン様をラファエル様は望んでらしたのに、陛下にお願いしてあなたが無理矢理割り込んだと聞いています」
「あなたの名前と年齢を教えてくれる?」
「ロリアン、14歳です」
「そう。ロリアン。私の婚約が決まったのはあなたと同じ14歳の時よ。貴族の子息子女はその年ごろになると婚約者がいる人もいるけど私はまだ決まっていなかったの。
父が立場的に選ぶのに慎重だったのと兄も決まっていなかったのもあったから。
それにその頃の私はニキビがいっぱいで恥ずかしくて人に会うのが苦手だったの。それは男性でも女性でも同じで苦手だったから極力外には出ないようにしていたわ。
だから父は私が落ち着いたらと考えていたのと、あとは、親のいないあなたたちに言うのは心苦しいんだけど、父は私を可愛がってくれていてね、とても過保護だから結婚をしなくて良いとさえ思っていたのよ。
父はこの国の宰相で忙しくて帰らない日も多いし、一人いる兄も次期宰相になるのが決まっていたから勉強に忙しいのもあって、家の事や領地のことは母に任せっぱなし。
だから母はもの凄く忙しくて大変だったの。今は兄が結婚して義理の姉が母を手伝っているからかなり楽になったようだけど。
でもその頃は領地がたくさんあるから、その一つを私に任せて王都の自宅に住んだままで良いと思っていたんですって。私がニキビで悩む姿を見かねていたのね。
それくらい人に会うのが嫌だったの。貴族の集まりに行けば醜いと罵られるしね」
「そんなにお綺麗な顔なのにそんなの信じられません」
「信じられないなら仕方ないけどそれが真実なの。この四年の間に綺麗に治ったっていうだけ。
そんな私だったのに、陛下から当時次期大公だったラファアエル様と婚約するようにと我が家に打診がきたの。そうね、打診と言う名の王命ね。
陛下は大公領と良好な関係を維持する為に誰をラファエル様の婚約者にするか考えられたの。
陛下には王女はいないし、当時の公爵家の中で年ごろの娘は二人。そのうち一人の家は国の仕事をしていないから国の仕事を任されている父の娘である私を指名したの。
最側近であるジョフロワ公爵家の娘である私をね。もちろん断るわけにはいかないの。王命だから。
人に会いたくないと思っても王命だからニキビのある顔でラファエル様と顔合わせしたわ。泣きそうだったのを覚えてる。顔を見て断られるってね。
ラファエル様は子どもだと思ったでしょうね。だって6歳年が離れているのよ。でも結婚する頃には18歳になっているから釣り合うと陛下がおっしゃって。
それで両家で婚約が決まったの。そこに私の意志はない」
「でも自分がなりたいって言ったって」
「そういう噂があるのは知っているわ。でも実際は違う」
「じゃあ大公様が嫌いなのかよ!」
「大公様は素敵な方よ。好きとか嫌いとかではなく、親愛の情はその時にちゃんと持ったわ。自分の容姿が気になっておどおどした私にも丁寧な対応をしてくださったから。
毎月手紙を送って、お返事をもらって。
この四年、大公妃になる為にたくさんのことを勉強したの。嫁ぐ日までにやれることは全てやったと思ってる。
久しぶりにお会いしたラファエル様はとても素敵で素晴らしい大公様になられていわ」
「でも大公様は本当はバルベ侯爵家のご令嬢と結婚したかったって」
「そうね。そんな噂もあるわね。でも私は直接ラファエル様からその話を聞いたことがない。私を大切にしてくださっているわ。
貴族の結婚ってそういうものなのよ。愛だけでは決められないの」
しばらく沈黙が流れた。マリーズの話を考えているのだろう。
「ロリアン。あなたが今、急に二十歳の人と将来結婚しなさいって言われてどう思う?」
「え、そんなの急に言われても」
「そうよね。普通はそうなの。でも貴族は家の為領地の為、色んな理由で結婚が決められる。もちろん本人の意思で結婚しても良いし、結婚した後に生まれる愛もある。
私はこの婚約で王命に逆らって抵抗するなんて考えられなかったわ。でももし、大公様がこの結婚を望まれなかったとしたら、バルベ侯爵家の令嬢と結婚したかったとしたら、その通りに正直に陛下にお伝えすれば聞き入れられたはずよ。
陛下は大公様の御意思を必ず尊重したでしょう。そんなお方なの。陛下って。父が言っていたわ。
だから、そのまま私と結婚したということは、陛下の意向を大公様が受け入れたということ。そこに私の意見が割り込む余地はないわ。
難しいかもしれないけど、少しだけでいいから信じてもらえれば嬉しいわ」
にっこり微笑んで二人に本を差し出した。
すると今度は素直に受け取ってくれたのでマリーズは一安心した。
いらないと言われるのは悲しいことだから。
それからは子どもたちと一緒におもちゃで遊んだりロリアンと話したりした。
「ロリアンは将来何になりたいの?」
「全然考えてないんです。というかどうしたら良いか迷っていて」
「なりたいものがたくさんあるの?」
「いいえ。たくさん働いてお給金のいくらかをこの孤児院に入れたいんですけど、どの職業に就けばよりたくさんのお金を入れられるかなって」
「なるほどね。うん。ロリアンは素晴らしい目標を持っているのね」
「そんなことないです。私は馬車の事故で両親を6歳の時に亡くしてここに入りました。しばらくは泣いてばかりで聖官長を困らせてばかりいたのですが、私より小さな子が楽しく笑って過ごしているのを見て、この笑顔を自分もできていた時があったなって思ったんです。それからは前向きになったんです。
だから、この孤児院に勤めようかと初めは思ったんですけど、それよりお金を稼いでここにいる子たちに美味しいお菓子を買ったりおもちゃを買ったりしたいなって」
「優しい良い子ね」
マリーズが笑いかけるとロリアンが顔を赤くした。
「マリーズ様」
メグがマリーズの思考をよんだのだろう呆れた様にこちらを見ている。
でもそれを否定している目ではない。
「ロリアン。ロリアンさえよければ、私の侍女見習いにならない?」
「え!私にそんな仕事務まりません!」
「大丈夫、ここにいるメグとカレンがみっちり指導してくれるから」
ロリアンがオロオロとメグとカレンを交互に見ている。
「大公妃の侍女のお給金は、ロリアンが就こうとしている女性の仕事の中よりずっと良いわよ。初めは見習いだから少なめになるけど、それでもこう言ったらなんだけど、食堂でお給仕をしたりするよりずっと多いわ。
侍女見習いから侍女になるともっともらえると思えばもっと頑張れるんじゃない?
メグ、カレン、お願いできる?」
「「お任せください」」
「え、私やるとは」
まだ戸惑うロリアンより聖官長に聞く。
「聖官長、どうかしら?そろそろロリアンも仕事に就く頃合いだったんでしょ?私に預けてくれないかしら?」
「ありがたいお言葉です。ロリアンは真面目に勉強をしておりましたし、優しい良い子です。子どもたちの面倒も見てくれて」
「そう。じゃあ、急だけど明日から来てくれる?」
「え!明日からですか?」
「早い方がいいでしょう?覚えることはたくさんよ。ちゃんと侍女見習いにも寮として部屋がもらえるから安心して来てちょうだい」
「え、でも。どうしよう」
隣に立つ少年を見ている。
「あなた名前と年齢は?」
その13、4歳の少年に聞いてみる。
「マクギー、14歳」
「あなたは将来を決めているの?」
「料理人になりたいと思っています。ここで僕が作ることもあって、みんなが喜んでくれるのが嬉しくて」
「そう、じゃああなたは大公城の料理人見習いになって」
「え!大公城には料理人がいるでしょう?」
「それがいないの。今は兵士が交代で作っているんだけど、それだと味も料理も偏るでしょ?
だから改善しようと思ってるの。ラファエル様に美味しい物を食べて欲しいしね。
大公領には教えられる人が今はいないから、指導するのは主にメグとカレン、そして私になるわ。
こっちは準備が必要だから明後日から来てくれる?」
ロリアンとマクギーが顔を見合わせている。こんな急に仕事が決まると思わなかったのだろう。
子どもの教育は国と領地が学園などを運営しているから孤児も通えるが、実際問題として、早くから働きたいという思いで聖堂で学べる以上の教育を受けに行く子どもは少ない。だがその反対に孤児から良い職に就くにはかなり努力がいる。見習いの見習いから始めるなどというのはよくある話だ。
それを二人に今から急いで育てるから覚えなさいと言っているのだ。決意と思い切りが必要になってくる。
マリーズは二人を見た。
「あなたたちに期待しているの。私はまだ大公領に来て日も浅いし、知っている人が側で学んでくれると助かるわ」
二人はしばらく顔を見合わせ頷くとお辞儀をした。
「「頑張ります!」」
「元気な声ね。ありがとう、受けてくれて。それじゃ、ロリアンは明日の10時頃メグに呼ばれて来たと門番に言いなさい。話は通しておくから。
マクギーは明後日カレンに呼ばれたと門番に言いなさい。こちらも話を通しておきます。
それから、大公妃様ではなくマリーズと名前を呼んでね」
「「はい!」」
こうしてマリーズは新しい侍女見習いができ、料理改善の仲間を手に入れた。
「マリーズ様またね~」
手を振る子どもたちに手を振り返すとマリーズは馬車に乗った。
大公城へ戻る途中メグとカレンが何か言いたそうにしている。
「良い子を見つけられたじゃない。私たちだけでは手が足りないって思ってたんだから。若いから吸収が早いわよ」
「若いって、マリーズ様も十分お若いんですけどね」
メグがやれやれといった顔をしている。
「二人には迷惑をかけると思っているの。二人だってまだここでの生活に慣れたわけではないのに新人を一から育てろ、だもんね。
だけど、私の側には私が見つけたこの人って思った人にいて欲しいの。まだ誰が敵で誰が味方かわからないから」
「さようでございますね。今侍女の募集をしても信頼できるかどうかわかりませんからね。良い判断だと思います。しっかり育てさせていただきます」
「私も、厳しくしっかりと教育します」
「ありがとう。私も一緒に頑張るわ。あら、クロードが眠そうだわ。今日はたくさんつき合わせちゃったし。帰ったらメグは先にクロードを連れて部屋に戻って。そのまま寝るようなら寝させればいいし、起きるようなら食事をしてきたらいいわ。
カレンは私と一緒にフレデリックのところに付き合って」
「「かしこまりました」」
二人のきちんと揃ったお辞儀の角度。ロリアンはいつマスターできるかしら?とマリーズは楽しみ半分心配半分な気持ちで馬車に揺られた。