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ボーダーレスと人見知り
「それ、俺も思っていました!」
自身でもびっくりする程の声が出た。
「あ。ごめんなさい、、」反射的に謝った。恥ずかしい。
確かに、引っかかっていたのだ。なぜ、この町で即身仏?複数のミイラ?郷土史なんてそんなものだ、と言ってしまえばそれまでだけれど。何となく触れてはいけない気がして、怖くなって考えるのを止めた。
ごめん、治くん。
ピンク髪の子は目を輝かせて言った。「興味がおありですか?地元の方ですよね?良かったら、お話聞かせてくれませんか。私はサクラと言います。犬が好きですが猫も好きです!大学で郷土史を専攻しています。密教に興味があり……」
悪い子ではなさそうだが、圧の強さに逃げたくなった。