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身内
明治時代の新聞記事だった。
民家跡で複数のミイラが見付かった。損傷度合も年代もバラバラだったようだ。現場の写真もあった。見覚えのある石碑。大分変わっているが畑の上の、あの場所だ。家主の名前が、 阿部鼎造。
「治くんのジィちゃん……?」
ウチのバァちゃんと治くんは従兄弟で、親戚関係にある。阿部鼎造。大地主だったそうで、今でも時々話題に上がる。
知っているはずの、聞いたことのない歌の歌詞が気になって。自分の中の違和感と、どんどん集まる情報のピースに探偵のような気分になっていたが、急に面倒になった。
そもそも貴重な休日に図書館まで来て何しているんだろう。帰ろう。
立ち去ろうとした時、声をかけられた。