4/129
誰ぞ彼時
節は知っているものだった。歌詞をはっきりと聞き取れたわけではなかった。ただ、やけに声が響いていて。
なぜ忘れていたんだろう。なぜ思い出してしまったんだろう。
本来のおじゃれこは、ご先祖様を迎えるため・送るための歌だ。なのに、あの時聞いた歌は、アレは。捧げるためのものだった。
町立図書館。小学生の頃に社会学習で来て以来だ。郷土史のコーナーがやけに充実している。おじゃれこの歌詞が載っている資料も何冊か見つかった。しかし、あの時聞いた歌はどこにもなかった。聞き間違いだったのだろうか。
ふと、ある記事が目に入った。