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忠魂碑


「あれ、そうくん。彼女か?ピンクの子」



とりあえず、ウチの畑に向かうことにした。無遠慮な近所のおばちゃんが定型文のような絡み方をしてきた。



そうくんとは僕のことである。阿部 蒼汰。祖母と2人暮らし。社会人。製造業。今年は曜日の関係で盆休みが10連休になった。まだ2日目だが今から仕事始めが憂鬱である。



「トーキョーの子。友達。案内しとるだけ」



この辺では関東周辺を総じてトーキョーと呼ぶ。



「ハイカラだと思った〜!ゆっくりしていけな〜」


「あっ、はい!ありがとうございます」



畑にバァちゃんがいた。もう一度このやり取りを繰り返して山を登った。



まだ真夏の15時だが、やはりそこは暗かった。湿度も高いがひんやりとしている。内心怖かったが、サクラのいる手前、平気な顔をした。



「あの新聞記事、たぶんここの昔の写真。気味悪くてあんまり長居したくないんだけど」本音が出てしまった。



「ここ!写真撮りたいです、大丈夫ですかね?保存面で光に当てちゃダメとかないですかね?!」



目を輝かせて、ハフハフしている。この場所でこんなにハフハフしている人間を初めてみた。そこかしこをウロウロそわそわしながら見ていたサクラが、石碑前で急に止まった。



「そーたさん、これ忠魂碑です」

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