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修学旅行



 そんなこんなで時間はあっという間に過ぎ去り、卒業まであと1ヶ月という所まで迫って来てしまった。



 私は卒業すればほぼそのまま軍に所属し、そのまま戦地へ派遣される。

 そうなると、もう自由に動ける時間もほぼ無くなってしまう。


 今が17だから、だいたい20歳になるまでは戦地に居るでしょうし、生きて帰れる保証も無いから、最後に好き勝手やれるのは今が最後だ。



 と、いう訳で·····



「ちょっと旅行に行ってくるわ」


「えっ!?まぁ卒業式までもう授業ないけど····· 今から?」

「向こうはたぶん昼間よ、私は太陽の動きより早いのよ?」


「あーーー····· そういうことかぁ」


 時刻は真夜中だけれど、そんな事お構い無しに私は旅行に出かける事にした。


「荷造りは?·····そのバッグの中に全部あるんだっけ、羨ましいなぁ」

「ルビーは私物を置きすぎなのよ」


「·····そうだよね」


 ルビーがなぜこの時間まで起きてたのかと言うと、寮から引っ越すための荷造りだ。

 彼女は卒業後は治癒士として働く予定で、当然だけれど寮には居られないから出ていく必要がある。


 私は元々あまり物を置いていなくてマジックバッグに全部仕舞えたのだけれど、ルビーは部屋にお手製の工房まで作ってしまっていたから、撤収がかなり大変みたいね。


 ·····そこまで本気でやるなら、外で家を借りれば良かったんじゃないかしら?



 と、野暮な質問を思いついたけれど面倒事が起きるから言わず、私は部屋の窓を大きく開けた。



「じゃあ行ってくるわ」


「はぁーい」


 そして私はルクシオンを発動し、目にも止まらぬ速さで飛び出していった。





 光と化した私はあっという間にこの星を巡り、目的地へ到着した。


 なんと1秒も掛かってしまったそこは、ずっと見えていたけれど行ったことの無い·····

 そして、決して行くことの出来ないはずの場所だ。



(·····)


 ·····凄いわね。


 果てしなく続く灰色の地面と、真っ暗な空。

 まるでこの世のものとは思えないそこは、現に全ての生命を拒む危険地帯だ。



(あれが私達が住んでいる星ね····· 隣同士なのにこんなに違うだなんて)


 ここは夜空に浮かぶ最も大きな星、月だ。


 果てしなく遠くにあると思っていたけれど、光ならあっという間に到着してしまった。

 ·····まぁ、今は『あ』も言えないのだけれど。


(たぶんルクシオンを解除したら死ぬわね、強力な紫外線も『死の光』も感じるわ、それに空気も無いわね)


 ルクシアは到着した時はルクシオンを解除しようと考えたが、鋭い洞察力で解除は危険と判断し、そのままで居る事にした。


 事実、もし解除していれば10秒ほどで真空状態になった影響で血液が沸騰し、意識が途絶しそのまま死んでいただろう。



 幸い、地上より遥かに強い光が届いているため、光を魔力に変換する効率は良いため、ルクシオンは永続的に発動していられた。


(昔から、この星は平面か球体かって論争が終わらないけれど、球体だったわね)


 私はあの星を何周も回っている。

 だから、平面ではないともう理解しているし、水が下に落ちないのが不思議だけれど、今それも理解した。



(この空の上の上には、上下も無いのね····· むしろ上下の概念がある私たちが異常なのかしら)


 月に到着する時、出発した時は頭を上に進んでいたはずなのに、月面では逆になっていて頭から地面に突っ込んでしまった。


 一瞬理解出来なかったけれど、上下の概念が無いと仮定したら簡単に理解できた。


 そして何が上下を決めるのかと考えたら、私が使う『重力魔法』だと考えついた。



 あの星の真ん中にある強力な重力魔法によって引き寄せられて、それが地面で遮られてるから立てるのね。

 ·····この星にも重力が少しあるみたいだし、もしかしたら私にも、どんな物にも重力はあるのかもしれないわね。



 ルクシアはなんと、リンゴも無しに自力で万有引力の法則を見つけてしまった。

 もし学会で発表すれば、世界を覆す大発見に·····



(それにしても退屈な所ね、次に行こうかしら)


 なるはずだったのに、ルクシアは殺風景な月面を見るように興味が無さそうにして、そのまま次の場所に向かっていってしまった。





(·····変な星ね)


 続いて私がやってきたのは、光の速度で数分も掛かるほど遠くにあった隣の星『明星』だ。


 ちなみに現実で言う所の金星に該当する星だ。


(地表が見えないわ····· 分厚い雲で覆われてるのね)


 そしてこの世界でも金星は分厚い雲に覆われてるいるらしく、地表の様子は見る事が出来なかった。



(地表に降りるのは厳しそうね、帰って来れなくなるわ)


 近世の雲は分厚く、太陽光を70%は反射し更に光を吸収するため、地表は非常に暗い。

 もし光であるルクシアが突入すれば、容易に抜け出す事の出来ない牢獄になるだろう。


(こんな雲の色の中に入りたいと思わないわよね、·····でもこの色だから、明星は黄色く見えるのね)


 金星が金星と呼ばれる由縁はその色にある。

 金星の大気は黄色味が強く、太陽光で反射した光が黄色になり地球からでも観測できるため、金星となったのだ。


(つまり『戦星』が赤っぽいのも、星の色のせいなのかしら)


 そしてもうひとつの隣の星、戦星(火星)の存在も気になったルクシアはまた光速での旅へと向う事に·····



 チカッ


(·····?何かしら、一瞬雲の中に光が·····)


 雷かとも思ったが、違和感のある光だった事に疑問を抱いたルクシアはしばらく金星を凝視していたが、結局雷しか見えず気の所為だったという事にして、火星へと向かったのだった。


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