異世界転生とかそんなの人生にないから経験談でも書くわ
異世界転生とかそんなの無い
転生とか人生やり直すだとか、そんなことは絶対に起こり得ないのですよ
そんな逃げて妄想する暇があればとにかく行動をすればいいという事をまず最初に言いたかっただけであり、この話の冒頭としては特に関係ないわけです
僕が昔、中学生だった時イジメに遭っている子がいました
もう幾分か昔なので何年生かは忘れたけど確か2年生だったはず
いや、3年生かもしれない
特に思い入れもないから本当に覚えがないのだから仕方がない
その子はなぜかイジメられていた
イジメっ子たちが言うには「キモい」だったと記憶している
多分ああ言う時期は理由なんて特にないだろう
本当に「キモい」だけだったのかもしれない
申し訳ないが確かにルックスがイケテイル子では無かった
僕もお世辞には可愛いとは記憶の中では思っていなかったはず
しかしそのイジメには加担はしていなかった
ただ、内心イケテイルとは思っていないのは事実で、それは広義にはイジメだったのかもしれない
しかし、イジメをしているその光景は不愉快ではあったのは事実だった
さてその後何があったかと言うと今文章を書いていて思い出したのだが、学期ごとに委員会のようなものがあり、1番不人気だったのが学級委員だった
みんなの学校ではどうだったかはわからないが、学級委員は男女のペアでやる係だった
あれはなぜ男女だったのだろうか、現代ではそんなシステムはないのだろうか
まだ子供のいない僕にはわからないがとにかくその時はそうだった
あ、なんとなく察しているとは思うけどイジメられていた子は女の子だった
そして不人気な学級委員にその子は無理やり、というか既定事実かのように祭り上げられていた
残るは男子だ
全員が何かしらの委員にならなければいけないのだが、僕がやりたかったのは図書委員会か給食委員
なぜかといえば本が好きだったのと、給食が好きだったというそれだけの理由だと記憶している
しかし問題は学級委員だ
もちろん誰もやりたがらないし、女子がイジメられっ子となれば特にやりたがらない
そんなことができる勇者は思春期の中学生たちにはいるわけもない
なぜなら自分までもがいじめの対象になる可能性があるからだ
みんなも経験がある、いや今は知らないが少なくとも僕と同世代なら「あー、わかる、あるある」と言ってくれるはず
誰かがやらないとこの謎の係決めという名の押し付け合いは終わらないのだ
運動部の奴らは部活動の顧問に怒られるから早く終わってくれ、もしくは学級の問題だからサボれるからラッキーと思っている
別にそういった部活動に入っていない奴らは早く帰りたいだけ
そして担任の先生は時給でもないのに長々となぜか燃えているのだ
なぜ義務教育の教師というのはあれほどまでに子供たちに本気で怒れるのだろう
今考えると理不尽なこともあったが今は関係ないので話を戻そう
僕はこの時早く帰りたいとかではなく、ほんの些細な気まぐれで学級委員をやると自ら言った
今更ながら僕を紹介しておこう
僕は勉強も平凡、スポーツも平凡、全てが平均点の男だった
何をやっても100人中50位
多分10000人いたら5000位だろう
あの頃は確かクラスが40人くらいだったから20位の男だ
男子が20人だとしたら10位の平々凡々の男だ
しかし僕には特技があったのだ
それは誰とでも可も無く不可もなくの関係を築く能力だ
先に話したイジメの話だが、僕はイジメっ子たちとも仲良く話すことはできた
用事があればイジメられっ子とも話していた
クラスのイケテイル子達とも遊ぶこともあれば、いわゆるイケテイナイ子達とも遊んでいた
つまり自分が無いのだ
僕には本当の友達がいなかった
学級委員を引き受けて幾日か経った頃、僕は相方、つまりイジメられっ子のイジメられている現場に遭遇してしまった
なるべくなら関わりたくも無いのだが見てしまうとやはり不愉快でしかない
しかしながらこれは嫌な問題で、見て見ぬふりをすると自分の中に拭い去れない"黒いモヤ"みたいなのが出来てしまうというのをなぜか人は知っているのだ
それを一度でも作ってしまうと永遠にその"黒いモヤ"は人生において付きまとってしまうということも子供ながらになんとなくわかっているのだ
僕の相方が何をしたのかは知らないが、なぜかスクールバッグを投げ捨てられみんなでパスを回すという全くもって理解のできない光景に出くわしてしまい、僕は反応に困っていた
するとそのなかの1人が「ヘーイ、パース」などと言いあろうことか僕に投げてきたのだ
それを、自分で言うのも難だが華麗に受け取ってしまった
多分流れに身を任せられたらそのままその中のニヤニヤしている誰かにパスをすれば何事もなく終わったのだろうが、僕はその相方の顔を見てしまった
相方は泣いてもいなければ怒った表情でもなかった
引きつった顔で笑っていたのだ
これはあくまでも僕の憶測だが、彼女なりにこの小さなクラスというコミュニティに一生懸命適応しようとしたのだろう
その引きつった笑顔を見た時僕の中であの"黒いモヤ"が湧き出てきたのだ
「悪い、委員会があるからこいつ借りるな!」
僕はみんなにそう宣言して相方を連れて教室を出た
ミスター50点男の精一杯の行動である
先に言った通り、僕は可も無く不可も無くの男だ
「おー、大変だな、頑張れよ!」
そんな言葉を受け取り廊下を歩いた
途中で相方にスクールバッグを渡すと彼女は無言で受け取った
委員会なんてある訳もない事を知っているからだ
僕は下駄箱まで歩いていると彼女は無言で着いてきた
靴を履き替え、校門まで向かう時も彼女は着いてきた
家に帰る道中も彼女は着いてきた
僕たちは一言も話さなかった
彼女はとっくに自分の家を通り過ぎたのに僕の家の前まで着いてきた
僕が家の玄関を開ける時彼女は、ビックリするほど大きな声で「ありがとう!」と言った
なぜだか僕は恥ずかしくなり片手をあげ挨拶をし、家に入った