謎ーサラ視点ー
その後、私はレイリスの姿を伯爵令嬢へと仕上げてから旦那様や奥様のもとに向かった。
私室を出るまでは、文句をずっと言っていたのに出た途端、おしとやかな令嬢のかわをかぶるので相変わらずの変わり身の速さと感心したのは内緒のことだ。
まぁ、でも昔から屋敷に仕えている人達はほとんどレイリスの素の姿を知っているのであまり変わらないのだけど。
「サラ、今日は私と仲が良かった人はどれくらいいらしゃっているの?」
レイリスが急に話しかけてきたので私はびくっりした。いつもは・・・・いや、いつもじゃなくて前は、か。前は、自分がやりたくないことをやらなきゃいけないときは、感情をずっと表に出していたのに 今では、あまり出すことが減ってきている。私の前では、一応出していてくれているけど旦那様や奥様の前では笑うことすら減っているから本当に心配だ。
「サラ、大丈夫?体調でも悪いのですか?」
私が、返事をしなかったからレイリスが心配したようだ。
「お嬢様、ご心配をお掛けしてしまい申し訳ごさいません。少し考えごとをしていただけですので。」
「ならいいのだけど。あまり無理をしないでくださいね?」
「はい。それで今日来てくださっているお客様の中には、ユーズリキ・ヒライズ様、ミーリス・スイーラ様がいるので、楽しめるかと思います。」
「そう、あの二人が来てくださっているいるなら楽しめそうね!」
レイリスはそう言いながら本当に嬉しそうに笑った。
「あと、カイル・ハセールス様方が来るそうです。」
レイリスは名前を聞いた瞬間顔から表情が抜け落ちた。でも、私には分からなかった。何故、そこまで反応するのかは。カイル・ハセールス様は レイリスとは犬猿の仲ではあるけど今まではここまであからさまに反応することは、なかったから。