閑話・ガーネット・2
大変遅くなりました。
ガーネットが幼い頃、クリソベリル家の領地は嵐に襲われ困窮した事があった。
その際に母がこぼした言葉。
「ガーネットが裕福な貴族にお嫁に行けたら…」
その日からガーネットの奮闘が始まった。
先ずは令嬢として誰もに認められる様に。
見た目は勿論、作法や知識も上を目指した。
幸い困窮したのはその年だけで、クリソベリル家は付近の領地では群を抜いて裕福に、侯爵家にも並ぶくらいの力を持った。
だが、クリソベリル伯爵は傲ること無く領民からも慕われている。
「私、クンツァイト家にお嫁に行きたいです」
娘可愛さから未だに婚約者の決まっていないガーネットからの言葉にクリソベリル伯爵は驚き、暫し妻と顔を見合わせた。
クリソベリル伯爵夫人はガーネットの髪を撫でながら「なぜクンツァイト家なの?」と尋ねる。
「アレキサンドライト様は私と歳も近いし、ウチよりも格上の侯爵家の嫡男でいらっしゃる。何よりステキな方ですわ」
目を輝かせる娘のお願いになんとか応えようと早速婚約を打診するが、即座に断られる。
まあ、予想通りではある。
なぜお断りされたのかしら。私に不足は無いはずなのに。
あれ以来、ガーネットは自他ともに認める令嬢中の令嬢、如何にもなお嬢様に育っていた。
故に、少々傲慢になってもいたのだ。
アレキサンドライト様は妹のルビー嬢を溺愛されているという噂。否、噂だけじゃない。学園でも何かと世話を焼いているところを頻繁に見掛ける。
「ルビー嬢がアレキサンドライト様をお離しにならないのね」
猪突猛進なお嬢様はやや勘違いの末に、過ちを犯してしまう。
元気無く家に帰ると既に学園での出来事を知っている母から呼び出された。
「ガーネット、貴女らしくなかったわね。どうしたの?」叱るでもなく、優しく問いかける伯爵夫人に泣きながら。
「だって、私が裕福な貴族に嫁げばクリソベリル家が助かるって…」
「え?待ってちょうだい。それはいつ聞いたの?」
「私が小さい頃…領地の皆が困っていたから…」
泣きじゃくるガーネットをそっと抱き寄せて。
「ごめんなさいね。あんな言葉で貴女を縛ってしまったのね。あの年は大変だったけど、皆で乗り切って。今は何も心配要らないのよ」
申し訳なさそうに、そっとガーネットの背中を撫でる。
「貴女には愛する人に嫁いでほしいわ。身分なんて気にしなくて大丈夫。ゆっくりでいいの」
泣き止まないガーネットの涙をハンカチでそっと拭きながら「あんまり早くお嫁に行ったら、お父様が悲しむわ」ニッコリと柔らかく微笑んだ。
つられてガーネットも泣き笑いして、涙が止まるまで母の温もりに包まれていた。
幼い頃からの努力を無駄にしないよう、これからステキな方を探そう。
そう決めたガーネットに、春が訪れるのはそう遠くなさそうだ。
いろんな構想が駆け巡って…纏まらず遅い更新です。
楽しんでいただけますと嬉しいです。




