続編・スピネル
前話のスピネル目線。
絵心が無くて描けないのが悲しい…
その日は朝から比較的体調が良く、王宮へと繋がる庭園を久しぶりに散策していた。
時折吹く風が心地よく、丁寧に手入れされた花々に目をやると、見慣れない令嬢が困った様にキョロキョロしている。
碧緑色の瞳に腰までの赤みのある茶の髪。
見なりから身分は低くないと思われる。王宮へ通う行儀見習いの令嬢だろう。
迷ったのだろうか。不安そうにしている姿が小動物の様で可愛らしい。
…何故か妙に惹かれる。
「おや?可愛い小鳥が迷い込んだかな?」
思わず声を掛けていた。
僕の声に驚きながらも慌てて淑女の礼を取り「ジェット家の次女、オパールと申します。すみません。宰相様の執務室へ向かっていたはずなのですが…」
恥ずかしいのか、下を向いてしまう。
「あぁ、伯爵家の。行儀見習かな?」
今にも消えてしまいそうな彼女に、出来る限り穏やかに声を掛ける。
「は、はい」緊張している様に小さく応えた。
「顔を見せて?」
そっと頬に手を伸ばすと、一瞬ビクッと肩を揺らす。
その姿は本当に小鳥の様に愛らしい。
恐る恐るという感じで上げた顔はまだ幼さが残るが、貴族の令嬢らしく手入れされて控えめながらも美しい。
見つめ合う目を離さずにいると、上気した様に彼女の頬が染まる。衝動に駆られて指先で頬を撫でると。
「あああ、あのぅ?」
永遠と思えるその時間は、ゆっくりと目を閉じた彼女に気付いた瞬間に幕を閉じる。
「あぁ、すまない」慌てて手を離した。
手に残る柔らかく滑らかな頬の感触を惜しむ。
自分の思いがけない行動にやや困惑する。
こんなふうに女性に触れたのは初めてだ。
「い、いえ、私こそ御無礼がありましたら申し訳ございません」慌てて再び礼をとる彼女を制する。
「近いうちにまた会おう。宰相の執務室なら向こうだ」
「教えていただき、ありがとうございます」
頭を下げる彼女の髪に触れたくて、ふわりと撫でて場を去った。
生まれつき身体が丈夫でなく、いろいろな物や事を諦めて静かな離宮で暮らす自分にフツフツと湧く感情が何なのか。
ただ1つ、ハッキリする事。
――彼女が欲しい――
許されるならば。
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