マリモっこり。
旅館の朝ごはんは、美味しい。
あっ、ホテルだけど。
又、やってもうた。
「貴方、今日の予定は?ウプッ!」
「この後阿寒湖に行って、流氷船に乗れればと思っているよ。」
阿寒湖、マリモで有名な所だ。
こんな冬でも、見れるのだろうか?
流氷船は、乗ってみたい。
後、網走と言えば監獄だ。
健さんの、網走番外地なんてあったけ。
冬の北海道は、ただ白い。
車内のコンポから、松山千春が流れ出した。
旦那の趣味だけど、私にはいまいちピンと来ていない。
北海道と言えば、この人なんだろう。
私は、安全地帯の方がピンと来る。
世代格差って、奴だ。
ユウナは、淋しい熱帯魚がお気に入りだ。
私に祥子ちゃんをやらして、自分はサッチンになりきっている。
これも、世代格差なのかなぁ。
お尻をフリフリ唄う、ユウナの可愛いこと!
「麻里、麻里聞いてるか?」
「えっ、何?」
「もうそろそろ、阿寒湖に着くぞ。」
ほぇ~、ユウナの事考えてたらあっという間だよ。
マリモ記念館って所に、やってきた。
んっ、あいつは何者?
全身緑で、凄くいやらしい目をしている。
オマケに、股間の部分が異様に膨らんでいる。
まりもっこり、はぁ!
隣で旦那が、笑いを噛みしめている。
おい、著作権どうなってんねん!
しばいたろか、こいつ!
あんたも、笑いすぎやねん。
旦那のケツに、キックをいれる。
「痛ッ、麻里どうした…。」
「笑いすぎやねん、あんた!」
「写真、一緒に撮ろうか?」
「イヤよ、絶対笑うじゃない!」
「ユウナが、喜ぶと思うぞ。」
卑怯よ、そう言われたら断れないじゃない。
まりもっこりが自分の股間をこれ見よがしに、強調してくる。
旦那が笑いを堪えられないのか、中々撮ってくれない。
はぁ、やっと終わった。
何の罰ゲームかと、思ったよ。
その後、本物のマリモの展示を見て回る。
お土産コーナーに行くと、又あいつがいた。
棚にいっぱい並んだ、色んなアクセサリーやぬいぐるみ。
旦那が、カゴいっぱいに買い込んでいる。
「ちょっと、貴方!」
「ユウナが喜ぶかなぁと、これ位はいいだろう?」
普段、生真面目な旦那がこんなに羽目を外す姿も珍しい。
「他の所もあるから、買いすぎないでね。」
そんなこんなで、網走に着いたら日が暮れそう。
なので、遅いランチを途中のカフェでする事にした。
旦那は、十勝牛のリブステーキ。
私は、この辺の名物のシーフードドリアをいただく。
「フモッ、熱!」
「麻里、慌てて食べんでも大丈夫だぞ。ほれ、ステーキ一口食べてごらん。」
「うーん、肉々しい。和牛なのに、ワイルドな味ね。」
「わしは、このくらいの方が好みだな。ドリア、一口もらうな。ホフッ、ハフッ!魚介のエキスが、感じられて旨い!」
「網走着いたら、もう泊まるだけ?」
「あぁ、そうだな。ちょっと、お店寄って夜食買うくらいかなぁ。」
「じゃあ、又飲みましょ。」
「本当、好きだな。あれから、大して時間も経っていないのに。」
「だって、あなたと飲むと美味しいんだもん!」
「ハゥッ、麻里~!」
「急に大きい声、出さないでよ。」
ホテルに着く前に、網走の物産館でおつまみとお酒を仕入れた。
ここで流氷船の予約が出来るとの事なので、明日の便の切符を買った。
天気も良さそうなので、とても楽しみ。
さぁ、ホテルに着きました。
まず、お風呂に入ってさっぱりする。
買ってきたおつまみを開けて、グラスを用意したら飲み会の始まりよ。
「ねぇ、聞いていい?」
「何だ、麻里。」
「この辺って、アイヌの施設が結構あるよね。私達と、何か関係あるんじゃない?」
「そうだな、でも俺達はアイヌとは種族が違う。元々、都を追われた者達だ。わかりやすく言うと、没落貴族だな。藤原氏は、その点栄華を極めた貴族だな。」
「藤原氏は、敵って事?」
「そうでは、無い。あの一族は、上手に利用されただけだ。たぶん、今の時代の方が生きやすかったと思うよ。あの一族は、平和至上主義だから。」
「いい人達なのね、歴史では悪く言われる事もあるけど。」
「みんながそうとは、言わんがな。見る者によっても、意見は分かれるから。」
「そうじゃなきゃ、あんなに平和な時代が続かないか。」
「そうだな、いつも戦乱を起こすのは臣籍降下した者ばかりだからな。日本のトップは、争い事が大好きなんだよ。」
「又、何か為出かすのかしら?」
「さぁ、自分の手は汚さないだろう。」
「ユウナは、そんな事に巻き込まれているの?」
「そうだな、ユウナの血が欲しいのだろう?あの子が、最後の正統な血筋だから。」
「ユウナの父親と、関係してるの?」
「ユウナの父親では無く、祖父だな。女王様の父親が、最後の神代の王だったそうだ。」
「神代って、今も続いてるでしょ?日本は、世界最古の、皇家よね。」
「これ以上は、関わらない方がいい。そもそも、わし等は片田舎の住人なんだ。ちょっと、酔いに任せて喋りすぎたわい。」
「何となく、わかったわ。深入りしない様に、気をつけるわ。」
「あぁ、飲もう!」
「ところで、あなた!阿寒湖のあれ、行く前から知ってたでしょ!私が摩周湖に行きたいって言ったのに無理やり反対したもんね。」
「いやいや、偶然だよ。ユウナに、いいお土産になったじゃないか。」
「何でもユウナのせいにしたら、済むと思って!あなた、そこに直りなさい!」
「お前、ユウナを叱る時もこんな感じなのか?」
「何ですか、人の躾につべこべ言わない!」
「はい、ついまてーん!」
「反省が足りない、この薄らハゲ!」
「ハゲって言うなよ、スキンヘッドって言ってくれよ。」
「うるさい、ペシッペシッ!」
本当に、酒グセ悪いな。
今日は、黙って従っておこう。




