オリハルコンの魔導杖。
「さっ、魔法を教えてあげようかな。」
「よろしくお願いします、お師匠様。」
「うむ、ミューよユウナに目隠ししてくれ。」
「痛いって、ミューちゃん。意外と、力強いよね。」
「ユウナ、魔力の巡りはわかるな?」
「うん、身体の中をぐるぐる廻ってる。」
「じゃあ、ライトボールを出してごらん。」
「うんと、よいっしょ。パッ、点いたよ。」
「そのライトボールを私に目がけて、撃ってみな。」
「ええ、目隠ししてるからムリだよ。ミミ、どこ?」
「五秒以内に当てないと、こっちから撃つよ。」
「んと、こっちかな?ええと、ズッドーン!バンッバン、痛っ!痛いよ、ミミ。もっと、手加減してよ。」
「ユウナ、やる気あるのか?適当に撃ったって、当たらんぞ。気配は、感じれんのか?お前、剣術が得意じゃろ。」
「うーん、ちょっと待って。ミューちゃん、こっちかな?ミミは、こっちだ。」
「全く、魔法より剣術が得意なのはどうかな?では、もう一度。今度は、アイススピアだ。私は、動くからちゃんと狙えよ。ミューが、お前の背中を叩いたら始めよ。」
トントン、ミューちゃんの合図だ。
お師匠様の気配は、無い!
何で?
痛っ、お師匠様のアイススピアだ。
凄く、痛い!
どこ?何処よ~!
んっ、ミューちゃんの気配探知って。
ボクは、魔力で耳の回りに膜を張る。
微かな、気配。
そこに向かって、アイススピアを撃ち込む。
直ぐに、ちょっと多めのアイススピアを動くであろう方へ撃った。
「よし、上出来じゃ。コツを忘れない様にな。」
ミューちゃんが、目隠しを取ってくれた。
「何だ、当たらなかったんだ。」
「まあ、普通の者なら当たりまくっておる。今度は、わしとミューの連続攻撃を躱しながらあのアイスゴーレムを倒してみせ。」
雪の中から、巨大な雪像が現れた。
デカい、10階建てのビルくらいはありそうだ。
ッパ無いって、ミミの魔力。
ミューちゃんが、又背中を叩いた。
ボクは、身体を浮かせて右に左に攻撃を躱しながら飛んだ。
上から、ミミのファイヤーボムが叩きつけられる。
躱しきれなくて、少し火傷した。
ミューちゃんの結界が、行く手を阻む。
ボクは、雪に潜って結界を避ける。
う~、つべたい!
火傷には、効いているみたい。
先程習った気配探知で、出る場所を窺う。
アイスゴーレムの、真後ろに出る。
鈍重な動きのゴーレムは、ついてこれない。
ボクは、ファイヤーストームを放とうとした。
その瞬間、ゴーレムの背中からサンダーマウンテンが向かって来た。
「ビリッバリッ、フェフェ、キュ~!」
「だらしないのう、先を読まんから隙だらけなのじゃ。」
「しょんな事言ったって、水属性のゴーレムから雷が落ちるとは思わないよ。」
「それが、心の油断じゃ。そんな事では、誰も守れんぞ。」
「ウワ~ン、どうしたらいいの?お師匠様、ボクもっと強くなりたい。」
「何でも、頼るな。少しは、自分で考える事だ。とりあえず、ケガした所治しな。」
「うん、わかった。」
ボクは、自分にホーリーをかける。
治癒魔法では無いが、癒しの効果がある。
ママみたいな聖女では無くても、少しくらいのケガの治療や体力と魔力の回復は見込める。
「さてと、少し休憩するかの。ほれ、ミロじゃぞ。後、カエデの蜜を煮詰めた飴じゃ。」
「やった~、お湯沸かすね。ミューちゃん、飴は囓っちゃ駄目ですよ。」
「ムリ言うな、ミューはウサギだぞ。」
ボリボリ、勢いよく飴が噛み砕かれていく。
ミューちゃんとミミに温めのミロを差しだし、ボクはもう少し温めたのを飲む。
「ねぇ、ミミ。もっと強力な魔法は、教えてくれないの?」
「教えてやらん事も無いが、まだ駄目だな。それと、明日は場所移すからハクに頼みな。」
「ここじゃ、ダメなの?」
「あぁ、ここは田んぼだからな。お前、西根のおっちゃんに作ってもらった武器持ってきな。」
「うん、明日お家に取りに行って来る。」
ボクは、帰ってお風呂に入ってから出かける。
学兄ちゃんの家に、行く事にした。
夜中なのに、ローダーのエンジンが掛かっていた。
「おぉ、ユウナこんな夜中にどうした?」
「兄ちゃん、ダムの入り口まで除雪してくるんでしょ。お家に、寄ってくんない?」
「ああ、かまわんよ。何か、あるのか?」
「お師匠様の鍛錬で使うオリハルコンの武具を取りに、行こうと思って。」
「ユウナ、お前オリハルコンの武具持っているのか?」
「うん、洞窟ダンジョンで手に入れたの。西根のじっちゃんに、鍛えてもらった。」
「何と、うらやましいな。」
「ミスリルなら、持ってるじゃん兄ちゃん。」
「あれ、いくらしたと思ってるんだ。由美に、めっちゃくちゃ怒られたんだぞ。」
「言ってくれれば、ミスリルも洞窟ダンジョンで手に入れてたのに。」
「はぁ、遅いわ。まあ、オリハルコンは魔力特性が強いからな。俺には、無用の長物だな。」
「じゃあ、行くか?乗れ!」
ショベルローダーが、新雪を巻き上げて進む。
かいこんだ雪を道の外側に、吐き出しながら。
ダムでUターンして、お家に入ったユウナが武具を持って来る。
一人で持てないので、魔導杖以外は学に持ってもらったが。
「あんがと、兄ちゃん。」
「お前、今から寝るのか?」
「うん、お師匠様は夜行性だから。」
「そうか、あまりムリするなよ。」
「うん、兄ちゃんも気をつけてね。」




