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家族。

 「かまくら、ミミが作ったの?」


 「ユキと、一緒にな。」


 「あっ、ユキは土魔法使えるのか。えらいぞ、ユキ。」


 「ク~ン。」


 「かまくらが暖まるまで、鍛練じゃぞ。まずは、あの山まで、10往復のダッシュじゃ。」


 「えぇ、魔法と関係無いじゃん。」


 「つべこべ言わんと、早よ走れ!」


 「わっ、ハクやめれ!」


 褒められなかったハクが、腹いせにユウナを引っ張って行った。


 雪まみれになったユウナが、辺りを窺う。


 ミミがいないのを確認すると、ふわふわと宙に浮き出した。


 飛ぼうとした瞬間、何かにぶつかってベチャッとなっていた。


 「何処に行くのじゃ、ユウナ。」


 「んとね、これはね危ない魔物とかいないか確認しようと思って。」


 「こんな真冬に、魔物どころか獣もおらんわ。罰として、10往復追加じゃ。」


 「えぇ、今日中に終わらないよ。」


 「いいから、早よ走れ!」


 月が真上にさしかかる頃、ゼーゼー言いながらユウナが帰って来た。


 頭から湯気を出して、辺りを見回す。


 「何なん、みんなしてかまくらで寛いじゃってさ!」


 「ほぅ、まだまだ元気いっぱいじゃな。」


 「もう、クタクタだよ。」


 「次はと言いたい所だが、今日はここまでじゃ。明日暗くなる前に、今日やった事やっておけよ。やらなかったら、次には進めんぞ。」


 「えぇ、いつになったら魔法教えてくれるの?」


 「教えただろ、《ドライヤー》。」


 「もっと、派手にドーンッとかバーンって奴教えてよ。」


 「もう、遅い。今日は、早よ帰って寝!」


 ボクは、くたくたの身体を引きずって民宿へ帰った。


 ハクは相変わらず拗ねて、ボクを乗せてくれない。


 ミューちゃんをベッドに寝かしつけて、お風呂にみんなで直行した。


 もう、日付が変わっている。


 頭洗うの、面倒くさいなぁ。


 シャンプーハットをユキが咥えて持って来たので、仕方なく洗う。


 ボクの髪は、銀色だ。


 昔は白髪みたいだと、いじめられた。


 今は、ボクのお気に入り。


 ママも、綺麗だとほめてくれる。


 ボクは覚えたての《ドライヤー》を使って、髪の毛とハク、ユキを乾かす。


 明日も、鍛練だ。


 体力作りばかりで、中学の頃みたいだ。


 男子に負けない様に、タイヤを引いて坂道ダッシュや無茶ばかりしていた。


 おかげで、試合は負け知らずだった。


 もっと、頑張ろ!


 翌朝、重たい身体を起こして周りを見渡す。


 お前か、ユキ!


 ハクより、重たいやん。


 うん、ユキちょっと?


 何、お目出度やん。


 やった~、相手誰?


 だよね~、ハクさん目を逸らさないでいただきましょうか。


 「おめでとう、ユキ、ハク!」


 【ク~ン。】


 「おはよう、おばば。ユキに、子供が出来たよ。」


 「あら、じゃあ今夜はごちそうだね。ユウナ、早く顔洗ってらっしゃい。」


 外で大根を干している長にも、ユキが妊娠した事を告げる。


 「ほなら、鶏を締めて盛大に祝わねばな。」


 「ボク、夜いないよ。」


 「どうせ、食べれないじゃろ。」


 「うーん、そだね。」


 「じゃあ、今日はミューちゃんと二人で行く。」


 「あまり、無茶するなよ。」


 もう昼だったので、そのままみんなとご飯にする。


 「じゃあ、走ってくるね。行くよ、ハクパパ!」


 ボクは、ハクに乗って雪原に繰り出す。


 別に、楽をしている訳じゃない。


 これも、騎乗の練習なのだ。


 とりあえず、雪上ダッシュだ。


 雪に足をとられて、ちっとも進まない。


 ボクの足が、遅いからでなはい。


 決して!


 終わると、日が落ちていた。


 今日は、ミミと晩ごはんだ。


 ハクが帰ると、ミューちゃんが首から干し肉とパンの入った袋を下げてこっちにやって来た。


 ミューちゃんとミミに、雪の下から掘り出したキャベツをあげる。


 お水は、火魔法で雪を溶かした。


 干し肉を咀嚼しながら、水で流し込む。


 昔、ワンコだった頃は冬になるといつも柔らかい木の皮やちょっとだけ出た新芽をかじっていた。


 たまに、ハクとユキがカエルや虫を土の中からほじくり返していたけどボクは食べなかった。母様がいた頃は、冬でも鹿の肉を食べれていた。


 ハクとユキも、一生懸命タンパク源を取らせようとしてくれたんだろう。


 ただ、冬に鹿を狩るのは難しい。


 お父さんに拾われた時は、衰弱が激しかったそうだ。


 たぶん、ハクとユキがお父さんを呼んでくれたんだろう。


 お父さんは、ボクがあの女王の子供だって最初は気が付かなかった。


 ガリガリで、人を警戒するボクは正に餓鬼だった。


 しばらくして、長がボクを見て姫と呼ぶ。


 初めて、みんなボクがフェンリルの幼体だとわかった。


 それまでは、ハクとユキと同じ秋田犬の子犬だと思っていた。


 ボクは、物心がつき人間に変化した。


 ただ、その頃には母様はいなかった。


 何年も前に、亡くなっていた。


 ワンコのボクは当てもなく、何十年も預けられていた里を飛び出したらしい。


 恐らく、母様を助けに行こうとしたんだろう。


 まだ子犬仲間のハクとユキは、かいがいしくボクの世話をやいてくれた。


 寝床を用意したり、食糧を調達したり。


 ハクとユキは、ボクの家族だ。


 そんな二人に、子供が産まれる。


 ボクは、産まれてくる子供の為にももっと強くならねばならない。


 さっ、修行だ!

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