眷族会議。2
翌日、ボクは社長さんの実家に連れて行ってもらえる事になった。
正確に言うと、由香お姉ちゃんに拉致連行された。
長にも逢いたかったので、抵抗はしなかったけど。
ママの実家から車で30分程、ボクの家に行くちょっと手前の高台にある集落。
そこの一番奥まった所にある民宿織田、社長さんや三浦のおばちゃんの実家だ。
ここには、お父さんの家の墓もある。
墓というか、社だけど。
長と奥さん、後集落の牙狼族や鬼人族が出迎えてくれた。
何人かは、見知っている。
牙狼族は人ではない時しか見てないので、見分けは難しいけど。
「姫様、お待ち申し上げておりました。」
皆でひざまずいて、頭を下げる。
「長、ボク帰る!」
「なんで!皆、楽しみにしとったのに。これくらい、我慢せんか!」
「うわっ、じいちゃん厳しい!ユウナ、泣かないの。」
「ほれ、あんころ餅あるから中入りなっせ。」
「おばば、漉し餡?」
「どっちでも、ええがよ。早よ、食べなっせ。」
「パパ、ユウナの扱い雑だね。本当に、姫なん?」
「まぁ、どうなんだろう…。」
「よっこい庄一、おばばミミは?」
「昼間だから、寝てるよ。フクロウは、夜行性なんだから。ほら、牛乳。由香も、座って飲みなさい。」
「ユウナ、寛いでるわね。自分ちみたい、ね。」
「だって、ワンコの時から預かってもらってるもん。」
「そうなん、パパもママも知ってた?」
「あぁ、小さい頃からユウナと遊んでたよ。香は、たまにユウナを持ち帰って怒られてたな。」
「てへっ、可愛いワンコだったもの。」
「ユウナ、覚えてる?」
「ワンコだった頃の事は、あんまり。でも、香ママは、匂いでわかった。この暖かい匂いは、あの時のだって。」
「ふふふ、ユウナのオネショはまだ治らないのね。」
「へっ、香ママ。どうして、それを?」
「郁恵さんが、麻里ちゃんが作ったオムツを持たせてくれたわ。」
「ムゥ、もう!」
「ユウナ、敏彦の所で預かってもらえるのか?」
「正確に言うと、社員寮に住んでもらうのかな。麻里ちゃんが、一緒だからね。」
「おぅ、お邪魔するよ!」
玄関から、学兄ちゃんと由美がやって来た。
「おっちゃん、おばちゃん、昼飯食いに来たの?」
「お前は、俺はいいけど由美はまだ10代だぞ。」
「いいんだよ、ユウナ大学卒業おめでとうな。」
「まだ、だけどね。どないしたん、あっ学兄ちゃんの家となりだったけ?」
「あぁ、そうだ。だけど、今日はギルドから来たんだ。朝、除雪に行ってたからな。」
「ふーん、由美お姉ちゃんも。」
「私は、今日お休み。途中で、拾ってもらったの。麻里、仮免合格したって。」
「わーい、さすがママ。何で、知っているの?」
「俺が、親方の自動車電話にかけて聞いたんだ。敏彦さんに頼まれて、連絡取ったんだよ。親方達、夕方にはこっち来るって。」
「ありがとう、学。親父、文太さんの所がこっちに来るって。後、郁恵ちゃんの所も呼んでいいかな?」
「その方が、いいじゃろ。由美、族長は来れそうかな?」
「今、出張で京都の伏見に行ってるよ。最近ちょこちょこ、八瀬の者が動き出したらしいから。」
「そうか、じゃあ代わりに残ってくれ。後は、西根さんの所にも声かけておくかな。」
「長、大げさじゃない。」
「何言うとる、ユウナ!覚醒もせんと、遊び呆けて!」
「じいちゃん、ユウナをいじめないで!シッ、シッ!」
「あぁ、由香。じいちゃんは、いじめてなんかおらんぞ。わしが、いじめられておるんじゃ。」
「ユウナ、よかったね。ママ、来てくれるって。じいちゃん怖いから、あっちで一緒に遊ぼ。」
「うん、ごめん長。」
「はぁ…。」
「父さん、ユウナの事心配し過ぎだよ。甘やかしてばかりじゃ、あの子の為にならないよ。覚醒しないのだって、父さんのせいだろう?」
「わかって、おるわい!あの子が、先代様の様にならなければ。それだけで、いいのじゃ。覚醒なんか、せんでいい。王国は、無くなったのじゃ。復活なんて、望んでおらん。あの子に、人並みの幸せがあればいい。又、目を離した隙に亡くなった母親の元へ行こうとするなどあってはならん事じゃ!」
「皆、同じ思いだよ。せっかく、平和な時代に生きているんだ。」
「そろそろ、天孫族が代替わりじゃ。」
「そうだね、それで八瀬の者達が騒いでいるのか。陰陽師も、何か企んでいそうだね。」
「どこまで、ユウナの事を嗅ぎつけているのか?味方の連携をしっかり、せねば。その内、伏見に行った九尾狐の族長が何か情報を持って帰って来るじゃろ。」
「天孫族は、何がしたいんだ?」
「ウソがばれるのが、怖いのだろう?」
「天孫族とは名ばかりの、百済の難民だからな。」
「どこまで、ユウナは知っているんだ?」
「全部だ、わし等が知らぬ事でも把握しておる。あの子が、ホンモノなのだから。よう、耐えておる。」
伏見稲荷の鳥居、凄かったなぁ。




