アルペン。
お店に戻ると、慎吾がピンクのウェアを持ってきた。
「これ、ユウナに似合うと思うよ。すごく、かわいいだろ?」
「うん、そだね。」
ユウナが、素っ気ない。
「慎吾、自分の探しておいで。」
私は、ユウナを隅に連れて行った。
「何、ママ?」
「ユウナ、どうしたの?あんた、本気で慎吾の事が好きなの?」
赤くなって、うずくまってしまった。
本気か!
「麻里、ユウナのこれでどうかしら?」
「うん、いいんじゃない?」
「ちょっと、適当にしないでちゃんとしなさいよ。」
「だって、これ…。」
「ユウナ、どうしたの?まだ、気にしているの。ママは、きっとあの日なのよ。」
「お母さん!」
「ユウナ、ほら行こう。」
慎吾が来ると、私の後ろに隠れてしまった。
「慎吾、又余計な事言ったの!」
「何も、してねえよ。オレ、嫌われたのかなぁ?」
「母さん、この子。」
私の後ろでモジモジ赤くなっている、ユウナ。
「まっ、ユウナ。慎吾、責任取りなさいね。」
「えっ、責任って!何、何の?」
ユウナに、ちょっと考えなさいとは言ったがムリの様だ。
やっぱり、子供なのだ。
悪い子では無いし、優しい子ではある。
ただ、幼い。
幼児経験も無いし、ずっとワンコだったんだからしょうがない。
その為に、私がいる。
母親としての、私が。
「ママと、可愛いの探そうか。」
「うん!」
怖かったのかなぁ、私も色々学ばなきゃ。
この子のたった一人の、母親だもんね。
慎吾、ごめんね。
あんたには、ちょっと早いわ。
私の大事な娘は、まだ預けられないわ。
「ママ、これがいい。」
「もうちょっと、派手でもいいわよ。ゲレンデは、見つけやすい方がいいから。」
青や緑は、見つかりにくい。
今度は、黄色と赤の派手なの持ってきた。
極端なのよ、この子。
まっ、いいか。
「これなら、見つかる?」
「着てごらん、サイズはどう?」
「ちょっと、ぶかぶか。」
「そうね、すいませーん!同じ奴の小さいの、ありません?」
店員さんが、奥からもう一着持ってきた。ついでに、同色のナイロンズボンも持ってきた。
なかなか、商売上手だ。
「ママ、大丈夫だよ。下も、ぴったり。」
「じゃあ、これにしましょう。手袋と耳当ては、もらったのあるから大丈夫ね。」
母と慎吾も決まった様で、こちらに来た。
「イクママ、これにしゅる。買って!」
「可愛いね、ユウナが選んだの?」
「うん!」
レジで清算して、車に戻る。
「お母さん、ありがとうね。」
「イクママ、ありがとうごじゃいまちた。」
「ンフフ、夕飯の買い物行きましょ。」
「母ちゃん、おやつ買ってくれよ。」
「お姉ちゃんに、頼みなさい。」
「姉ちゃん、いいだろう?」
「あんたは、ダメ!ユウナ、おやついっぱい買ってあげるね。」
「わっ、えこひいきだ。」
「当たり前でしょ、ユウナは私の一人娘なんだから。」
「お兄ちゃん、ユウナの分けてあげる。」
「ユウナは、いい子だな。パイオツカイデーとは、違うな。」
「ユウナ、慎吾に分けたらダメよ。見つけたら、ゲンコだからね!」
「ふぇっ、お兄ちゃんごめんなさい。」
「ほれ、そんな所で漫談しないの。早く、行くよ。」
「ボクが、押すの!」
「重くなるから、兄ちゃんに任せろ。」
「イーヤ!」
買い物カートをどっちが押すかで、揉めている。
「重くなったら、かわってあげな。」
「やった!」
小っちゃい子供は、こんな事で喜ぶんだね。
「ママー、筋子買ってね。」
「ユウナ、筋子が好きなの?変わってるね。」
「うん、ホタテも好き!」
「じゃあ、たくさん買ってこうね。」
「うん、イクママ大好き!」
母が、ユウナにむしゃぶりついている。
母の好物は、ユウナみたいだ。
「わっ、ピーマンイヤ!」
「俺も、ピーマン嫌い。」
「だよね、お兄ちゃんピーマン戻して。」
「こらこら、ピーマンや人参とか野菜食べないと大きくなれないわよ。」
「ミューちゃん、小っちゃいよ。」
お前は、ウサギなのか。
「ユウナは、尻尾も長い耳も無いでしょ。」
「尻尾は、あるよ。耳は、ママも長いよ。」
あっ、あったね。
私は、ウサギじゃないぞ。
「あんたら、好き嫌いするならおやつ抜きな!母さん、甘やかさないでよ。」
【えーっ、食べるよ。食べます!】
息、ぴったりだな。
「母さん、夜はどうするの?」
「きりたんぽ鍋がまだ残ってるから、お蕎麦でつけ麺にしようかなって。後、もうちょっと何かほしいわね。」
「じゃあ、私がから揚げあげるわ。明日のお弁当にも、使えるでしょ。」
【やった~!】
ちびっ子大人気の、から揚げだよ。
「ママ~、雪見ぜんざいも食べたい。」
「冬なのに?」
「こたつで、ほっこりしたい。」
「姉ちゃん、雪見ぜんざいって何だ?」
「雪見だいふくに、あんこかけただけよ。」
「オレも、食いたい!」
「はいはい、買って行きましょう。」
【やった~!】
親バカですね、麻里。




