凸凹夫婦。
オリビアに着いたけど、まだモーニングの時間だった。
マスターはおらず、ママだけだった。
二人の小女が、ハグしあっている。
「ねえ、あなた。ママさんって、もしかしたら?」
「確か、コロボックルだったかな?いつまでも、子供のままだそうじゃ。ちなみに、マスターはダイダラボッチとか言うたかな。巨人と小人の珍しい、夫婦だな。」
ほー、よくわからん!
「ユウナちゃん、この耳当て可愛いでしょ。それから、この手袋プリキュアのなの。つけて!」
「ママさん、お客さん呼んでるよ。」
「麻里ちゃん、お願いね。」
えっ、私…なの?
仕事してよ、ママさん!
こういう時、旦那は役に立たないのよね。
って、お前かよ!
何、優雅にソファーで寛いでんねん!
「スペシャルブレンドをモーニングBで、頼む。」
「おい!ランクルの運転、私代わろうかしら。」
「はい、自分でやります!」
「お嬢様は、ホットミルクティーでよろしかったでしょうか?」
「うむ!」
「ママ~、もらった!」
「あら~、可愛いわね。ちゃんと、お礼言った?」
「うん、お父さんボクホットミルクね。」
「お前もか!」
「ママさん、これつまらない物ですが。」
「ありがとう、気を遣わなくてもいいのに。麻里ちゃん、ユウナちゃんってコロボックルなの?」
「違うみたいですよ、夫が山から拾った時はワンコだったみたいですから。」
「あら~、そうなの。かわいいから、同族かと思ったのに。」
かわいいって、ママさんが言っても鼻につかないけど。
「文太君、ゴメンね。Bセット用意するわね、麻里ちゃん達は?」
「私は、同じので。ユウナは、ホットケーキでお願いします。」
「ユウナ~!来とったのか、良かった。」
ドタドタと、大きな人が現れた。
「マスター、どうしたの?」
「何で、言うてくれん。まだ、寝てる所だったぞ。」
「あなた、お昼からじゃない。」
「ユウナ、高い高~い!」
「マチュター、ぶちゅかる!」
あざと可愛い、ユウナ反則だわ。
「ゴメンちゃい!」
気持ち悪いよ、マスター。
奥から、マグカップにコーンスープが運ばれてきた。
「昨日の残り物で済まんな、濃くて旨いよ。」
【うんま~い!】
「ボク、この飲み物世界一好き!」
「ユウナは、マスターの作るの世界一好きよね。」
「うん!」
マスターが、泣いている。
ママさんも、泣いている。
夫は、屁をこいた。
「臭~、お父さん!」
【フハハ!】
いいお店、故郷はなかなかだわ。
今度は、実家に顔を出しに行く。
今日は土曜日だから、そろそろ慎吾も父もか帰っているかな。
「ただいま~!」
「お帰りなさい、文太さんもユウナもお帰りなさい。」
「ただいま、ばーば。」
「お世話に、なります。」
母が、ユウナを抱っこした。
「寒いだろ、早くお上がんなさい。」
さすが高断熱高気密、実家は温かい。
「お父さんと、慎吾は?」
「もうすぐ、帰って来るよ。お父さんは、早出したからもう帰っててもいいんだけど。」
【ただいまー!】
二人、一緒に帰ってきたらしい。
【お帰りなさい。】
「おぅ、みんな来てたのか?母さん、買って来たぞ。」
「冷蔵庫に、しまっておいて。」
抱っこしている、ユウナを離そうとしない。
「じいじ、何買って来たの?」
「何だろうな、ユウナの好きな物だぞ。」
「ワーイ、楽しみ!」
甘やかしてばかりだな、この家は。
初孫だもんな。
ここも、小さくなったユウナを追求しない。
部屋に行ってた慎吾が、ユウナに突進して来た。
「ユウナ、明日スキー行こうぜ。」
「うんとね、ママが免許取りに秋田に行くの。」
「カイデーパイオツなんか、放っておけよ。」
「おい、くそガキ!日本語、おしえたろか!」
「痛ぇな、姉ちゃん。もっと、手加減しろよ。」
「メッだよ、慎吾!」
「そうだな、ユウナが真似したらダメだもんな。」
何なん、この差!
「麻里、ユウナは家で面倒見るから置いていきなさいよ。スキー場で、して欲しい事あるのよ。」
「何、お母さん?」
「あのお湯が出る魔石、スキー場にも取り付けて欲しいのよ。あれがあれば、コスト削減になるし私も助かるわ。」
夫を見やる。
「ユウナ、ここに泊まっても大丈夫か?父と母がいなくても、おねしょしないか?」
「お父さんの、バカ!一人でも、泣かないもん!」
「痛っ、麻里~。」
思いっきり、旦那を抓る。
「ユウナ、お兄ちゃんが一緒に寝てあげるからな。」
いつからお前は、お兄ちゃんになった。
「お兄ちゃん、一緒にトイレついて来てね。」
お前は、どこでもあざといな。
「おう、任せろ。スキーも、教えてやるからな。」
「お兄ちゃん、上手なの?」
「この間、総体で二冠取ったぜ!」
「すごい!ボク、転んでばかりだからお願いね。」
「じゃあ、決定ね。二人は、羽根伸ばしてきなさい。」
「お願いします、お義母さん。」
「さっ、お昼にしましょう。手伝って、麻里。」
今度は、じいじに抱っこされているユウナ。
慎吾は、夫に冒険者の事を聞いているみたい。
目が、キラキラだよ。
慎吾君は、ユウナの叔父さんなのか。
反省しないね、慎吾君。




