帰省。
街がセピアに染まる頃、学校も冬休みを迎える。
ミューちゃんと荷物を背負って、新幹線に乗り込む。
角館に着くと、一面雪景色だった。
ここから、内陸縦貫鉄道で前田駅に。
豪雪の中をローカル列車に、乗りたかった。
ユウナは早起きしたせいか飽きたのか、スヤスヤ寝ている。
あれから、急激に子供化したユウナ。
今は、小学校高学年くらいに見える。
慎吾と、同じくらいかな。
年相応といえば、そうなのだが。
おかげで、ミニクーパーがホコリをかぶっている。
大学は何とかなったが、これ以上はごまかしが効きそうにない。
夫に相談したが、直接見ないことにはと。
モデル稼業も、休業させる予定だったらしく様子を見るそうだ。
本人は、あまり気にしていない。
精神年齢に引っ張っられているらしく、しっくりしている。
私も、それほど申告ではない。
娘は、娘。
私の子である事には、変わりない。
それにしても、真っ白。
トンネルか、白い雪。
確かに、退屈だ。
「ユウナ、起きなさい!もうすぐ、着くわよ。」
「ママ~、寒い!」
最近、呼び方がママに変わった。
白いマフラーをユウナの首に、巻く。
降りると、夫が待っていた。
「ただいま、あなた。」
「お父さん、ただいま!」
「お帰り、角館まで迎えに行ったのに。」
「一度、乗ってみたかったの。やっぱり、寒い!」
「おぅ、早く車に行こうか。」
ランクルの中は、ポカポカで暖かった。
家に入ると、ハクとユキが室内犬になっていた。
庭は、駆け回らないみたいだ。
リビングは、床暖房が効いててほっとする。
小さくなったユウナは、ハクとユキに埋もれて姿が見えない。
ミューちゃんは、何故か夫の頭の上にいる。
「予測以上に、小っこいな。拾って来た時と、そう変わらん。」
「しばらく、ワンコだったんでしょ?まだ人間なだけ、よかったわ。」
「大学は、飛び級で来年卒業させるそうじゃ。一年でどうかと思ったらしいが、教授達が教える事が無いとぼやいているらしい。出来れば、研究員として残ってほしいと。大学院も籍だけ残して置けば、良いそうじゃ。」
「全く、子供らしくないわね。私も、大学の事務局長から聞いたわ。私も飛び級だって、もう一年通ったら大学院よ。」
「すごいな、麻里もだいぶ頑張ったな。」
「この子の母親として、恥ずかしく無いようにね。それから、埼玉戻ったら引っ越すわね。あのマンションは、三浦さんが用意してくれた物だから。」
「なら、仕事調整してわしも一緒に行くかな。手伝える事があれば、何でも言ってくれ。」
「うーん、あなた向こうで暮らせない?」
「議会が、あるからの。次の選挙は、学に立候補させるか?」
「あっ、ごめんなさいあなた。自分勝手な事、言って。」
「イヤイヤ、ユウナじゃろ。今さら、小学校にも通えないし。託児所も、中途半端だからの。どうするかの~?」
「ク~ン!」
ユキの声が聞こえてそちらを見ると、ユウナがヨダレを流して寝ている。
夫が昔使っていたベビーベッドに、寝かしつけた。
昔を思い出したのか、ずっとユウナの寝顔を見つめている。
娘にはなったが、孫を心配するじっちゃんの顔だ。
「あなた、お腹空かない?」
「何も、無いぞ。」
冷蔵庫を開けると、ビールとつまみしか入っていなかった。
「ホントに、ちゃんと食べてるの?」
「ん、あぁほぼ前田食堂に頼りきりだがな。」
だから、この子はおやつばかり食べるのか。
とりあえず、薪ストーブでご飯を炊こう。
それから鍋で、焼き鳥と山菜の缶詰めを煮て。
「あなた、この缶詰め開けといてね。それは、料理に使うのよ!」
焼き鳥をビールで、食べようとしている。
後は、漬け物を切って干した魚を薪ストーブの上で焼いてと。
「あなた、ユウナを起こしてちょうだい。」
「ムニュ、クス~。」
「こら、寝るなユウナ。お母さんが、ごちそう作ってくれたぞ。」
「ムゥ、お父さん抱っこ!」
「しょうがないのう、ほれお手々洗いに行こうか。」
小さくなったユウナに嬉しそうな、夫。
「ママ~、お手々洗ったよ。」
「お味噌汁、持って行って。熱いから、気をつけるのよ。」
【いただきまーす!】
「ママの料理、おばあちゃんみたいだ。ボク、アンパンマンカレーが食べたい。」
「ユウナ、誰がおばあちゃんですって。いいから、食べなさい。もっと、小さくなるわよ!」
「おかわり!」
「あら、あなたはやいわね。」
「すごく、美味しいよ。久しぶりに、ちゃんとしたの食べれるよ。」
「うん、美味しい。ママは、やっぱり魔法使いだね。」
「テクマクマヤコン、テクマクマヤコン!」
「ママ、古いよ。」
何ですって!
今は無き前田食堂のラーメン、美味しかったなぁ。




