思い込み。
「あっ、あなたユウナの戸籍!」
「ユウナの戸籍が、どうした?」
「どうしたって、女の子だったじゃない?」
「あぁ、そうだよ。ユウナは、わしの娘だからな。」
「だって、学校では…。部活だって。」
「学校、女子だったろう。部活や体育は、鍛える為だよ。」
「でも、私ユウナとお風呂入っているわよ。」
「フェンリルは、子供の頃は男女の区別がつかないからな。大人になったら、メスの特徴が現れるよ。」
「ユウナ、知ってた?」
「ボク、良くわかんない。」
「お母さんの、思い過ごしだったのね。良かった。ユウナ、お嫁に行っちゃ駄目よ。」
「うん、ボクお婿さん取るよ。」
「そうじゃなくて…。」
「麻里、まだ先の話じゃて。夕飯は、何じゃ?」
「もんじゃよ。」
「へっ!」
「だから、もんじゃ焼よ。」
「面白い、お母さん。」
面白くないわよ、全然!
「ユウナ、お父さんに相談した?」
「なーに?」
「あなた、お仕事辞めたいんでしょ。」
「ユウナ、仕事つらいのか?」
「ううん、楽しいよ。でもね、今のうちに出来ることをしたいなって。」
「そうか、わしは構わんぞ。三浦さんは、何と言うとる?」
「今年いっぱいは、頑張ってって。」
「麻里は、それでいいのかな?」
「私も、その方がいいのかなって。まだ子供なんだし、色々経験するのはいい事よ。」
「お母さんは、お前を大事にしておるの。ユウナ、お仕事の事はわかった。ただ、ダラダラしてはいけないよ。お母さんの言う事、ちゃんと聞く様に。」
「アイ!」
「よし、食べようか?」
【いただきま~す!】
「うーん、ビールに合うな。」
「あなた、飲みすぎないでね。」
フゥフゥ言いながら、コテで掬う。
「ユウナ、ベビースターラーメンばかり食べないの。キャベツも、ちゃんと食べなさいね。」
「アイ!」
何か腑に落ちない思いがあるけど、こうやっていると幸せを感じる。
お腹いっぱいになったユウナが、舟をこぎ出した。
冷蔵庫からビールを取り出して、ユウナを寝かしつける事にした。
ユウナのお腹を撫でながら、顔を眺める。
整った顔立ちとは言いがたいが、垂れた目尻が愛嬌をそそる。
少しポチャッとしたほっぺも相まって、庇護欲をかき立てる。
「ユウナは、寝たか?」
「ええ、あなたどうぞ。」
又、取り出して来た冷えたビールを注ぐ。
「こちらでは、一人で寝れるんだな?」
「外の灯りがあるから、真っ暗じゃないですから。夜中に起きたら、私のベッドに潜り込んできますけどね。あなた、しばらくいれるの?」
「うーん、二三日って所かなぁ。仕事道具を買う以外やる事も無いし、ゆっくりは出来るよ。」
「明日、ユウナを連れて横浜に行かない?あなたの青春時代が、知りたいわ。さぞ、モテたんでしょうね。」
「そんな事は、無い…。まぁ、懐かしい思い出もある。それにしても、麻里は愛いなぁ。」
そのまま抱き抱えられて、ベッドへ運ばれた。
「麻里、愛しているよ。」
「あなた、私も。アァ~!」
「ユウナが、起きてしまうぞ。」
「だって~、あなたきて!」
大きくて張りのあるものに顔を埋めながら、形のいい双丘に手を這わす。
久しぶりの極上の果実、堪能しよう。
「お母さん、ごめんなさい。ウェーン、グジュ!」
「うん、どうしたのユウナ?」
微かな、アンモニア臭。
「どうしたんだ、ユウナ?」
「ユウナ、お風呂行こうか。あなた、ユウナの部屋のマットベランダに出して。」
「ウワーン、ワン!お母~さん!」
珍しく、おねしょした様ね。
興奮、したのかな?
まさか、私達に気を遣って?
「ユウナ、淋しかったの?お父さんと一緒に、寝たかった?」
キョトンと、している。
身体を拭いて、着替えさせる。
「お母さん、よそ行きだね。どこか、行くの?」
「横浜に、行くのよ。お父さんが、案内してくれるって。」
「ボクも、行っていいの?」
「当たり前でしょ、ユウナのお父さんでしょ。」
やっぱり、気を遣っている。
怒らんとこ。
洗濯をしている間に、私達も身仕度を整える。
「お父さん、ぶつけないでよ。まだ、買ったばかりなんだから。」
仲睦まじい。
夫が、運転してくれるらしい。
とりあえず、いつものパン屋さんでモーニングをする。
ユウナが夫に、これがいいとかあれが美味しいとかレクチャーしている。
私は、みんなの飲み物を受け取って席に着く。
「麻里は、パン取らないのか?」
「この子、食べきれないでしょ。」
「全く、甘えん坊だな。」
「テへッ!」
「クンクン!」
「どうしたの、お母さん。ボク、まだおねしょの匂いする?」
「ううん、お母さんの朝ごはん。」
夫まで、クンクンする。
「やめてよ、恥ずかしいよ。」




