披露宴。
オリビアに着くと、お店が貸し切りになっていた。
今日の為に、マスターとママが粋な計らいをしてくれた。
中に入ると、学兄ちゃんの家族やお父さんの会社の人。
それから、美奈子を含めた田舎に残ったお母さんのお友達。
そして、何故か陽介が来ていた。
お母さんの顔を見ると、それほど気に障っていないみたいで安心した。
「マスター、ありがとう。いやー、驚いたよ。」
「ママさんも、ありがとうございます。」
「あまり凝った事は出来ないけど料理だけは旨いから、楽しんでくれよ。」
「自分で旨いとか、言わないの。」
ユウナの姿が、見えない。
カウンターの中から、小さい子の嬌声が聞こえる。
慎吾と後同じ位の子供達が、ユウナに纏わり付いていた。
マスターとママさんの、お孫さんらしい。
この人達、いくつなんだろう?
もしかしたら、こちら側の種族?
それにしても、ユウナは子供と仲良くなるのが早いな。
精神年齢が、近いせいかしら。
私は、文太君に連れられて改めて会社の人や親族に挨拶した。
学さんのお母さんも、大きい。
やはり、鬼族の特徴なのだろう。
会社の人達も、何かの種族っぽい。
由美先輩は、稲荷族だし。
その後、私は文太君を連れて友達の所へ。
みんな、ちょっと引き攣っている。
怖くないですよ貴方、笑顔よ。
文太君が、陽介に何やら話しかけている。
何かしら、面識は無いはずだけど。
「麻里、あの男の子は普通の人間かい?」
「わからないけど、特に変わった人では無いわ。どうしたの?」
「気のせいならいいが、抜け殻の様でな。」
えっ、どういう事?
「危険なの?」
「多分、あの男の子はエサなのだろう。神超えの為のな。」
「あの子、ユウナと仲いいわよ。」
「なんじゃと、いくつか聞かねばならぬな!」
「落ち着きなさい、多分ユウナはあいつを手にいれてるわ。」
「遅かったか、いやユウナなら当然か。」
「ユウナは、神獣に決定だな。麻里、大変じゃぞ。」
「別にユウナはあのままだし、私の娘には代わりないわ。」
「おろおろするのは、父親ばかりか。」
「あなたは、優しいのよ。」
「そこのいちゃいちゃしている、お二人さん。誓いの口づけ、お願いしまーす!」
「美奈子!」
小っちゃい子達も、下からキラキラした瞳で見上げている。
しょうがない、きて貴方。
「お父さん、お母さんおめでとう!」
【おめでとう!】
それから、私達は親子だけで墓参りに来た。
この場所は、私達しか知らない。
「娘さんを何があっても、幸せにします。」
「あなた…。ユウナの事は、任せてね。」
「お母さん…。」
「ユウナ、お父さんとお母さんはいつまでもお前を愛し続ける。お前は何があっても、一人じゃない。ずっと、甘えなさい。」
「お父さん…。」
「ユウナ、ありがとう。あなたのお母さんになれて、私は幸せよ。」
「ボクも、お父さんとお母さんの子どもになれてよかった。幸せだよ。天国の母様、ボク母様より強くなってみんなを守るよ。」
「その前に、おねしょ治しましょうね。」
「もう、お母さん!」
その夜は、初めて夫も私の実家に泊まる事になった。
お風呂から上がると、時代劇みたいに座敷に布団が二つ並んでいた。
ユウナは、両親の部屋で慎吾共々寝るらしい。
全く、孫に浮かれて…。
明日文太君が県議会議員宿舎に行くので、この街の空港では無く秋田駅まで送ってもらう。
急ぐ必要も無いので、新幹線で帰る事にした。
母親になるって言ってから不安ばかりだったけど、夫や両親に助けてもらいながら少しづつやってきた。
ユウナは本当にいい子で、こんな私でも懐いてくれている。
夫は、大きな愛で包み込んでくれる。
産まれて100年近く、こんなに幸せだった事はない。
おやすみ、貴方。
あの時、突然姫がわしと結婚すると言い出したのには驚いた。
本来であれば、わしから言わねばならぬ事だ。
だが、子持ちな上にこんなオヤジでは。
言われた瞬間、軽く逝きかけた。
わしは小さな頃から、姫にあこがれておった。
他の女性と付き合う事もあったが、姫の事を思うと。
しかし、世間から見れば娘の同級生。
あり得ん事だ。
しかし、今は隣でかわいい寝息をたてている。
夢か、幻か。
ユウナ、おねしょするなよ。




