お久しぶり。
親子宣言したら、幾つの時の子なのとおバカな事を聞かれた。
この子の養父と結婚するからと答えると、男性スタッフさん達がため息をつく。
「お母さん、モテモテだね。」
ユウナは、私が母になってからずっとご機嫌さんだ。
ワンコだからか、すぐお腹を撫でてもらいたがる。
私は、少し複雑だ。
今日は遅くなったので、お風呂だけ入ってすぐ眠る。
ちょっと前までは、ユウナと私は肉体関係があった。
私のレベルを上げる為なのは、解っていた。
覚醒した今、何より母娘になった事でそれは遠い昔の話になる。
撮影も終わり、明日三浦さん達は東京に帰る。
私達は、空港に見送りに行った後文太君の家に行く事にした。
翌日、空港を出ようとするとバス停に美奈子がいた。
「美奈子、帰って来たの?」
「麻里、夏休み?まぁ、タマちゃん運転出来るの?偉いわね。」
「家まで、送って行くよ。狭いけど、乗って。」
「ありがとう、じゃあよろしくね。」
「お昼、食べた?ランチに、行かない?」
「朝ごはん食べてないから、お腹空いてるのよ。空港、食べる所無いし。いい所あったら、連れてって。」
「ユウナちゃん、何が食べたい?」
「お母さんの行きたい所で、いいよ。」
「じゃあ、オリビア?」
「二日連続は、不味いんじゃない。お母さんの好きな、曙食堂行こうよ。」
「今日、開いてるかしら?」
「ねぇ、タマ。お母さんって、麻里の事?」
「うん、ボクのお母さん。うらやましいでしょう。」
「麻里、やっぱり!」
「違うわよ、産んでないから!産みたかったけど、違うから!ユウナの父親と、結婚する事になったのよ。」
「わぁ、おめでとう。お昼は、ご馳走するわ。初ボーナスも、もらったし。」
「そう言えば、お盆でもないのにどうしたの?」
「デパート業界は、お盆休み取れないのよ。それで、今が代休。タマ、塩崎専務が最近来ないって落ち込んでたわよ。田舎に、帰ってたのね。」
「美奈子のところって、あの赤いカードの?」
「そうよ、なんでわかったの?」
「ユウナに連れて行ってもらった時、いつも塩崎さんって人が応対してくれてたから。」
「タマちゃんは、上客だからね。」
曙食堂に着いて、近くに車を停める。
開店した所だったが、もう満席になりそうだった。
メニューは、ラーメン一択。
大盛にするか、チャーシュー麺にするかしか無い。
チャーシューが馬肉の、珍しいラーメンだ。
私と美奈子がチャーシュー麺、ユウナは半ラーメンにする。
「相変わらず、食べないわね。よく、大きくなれたわね。」
「お母さんが、おいしいの作ってくれるから!」
「また、甘やかして。」
「かわいいんだもん、しょうがないじゃない。」
美奈子相手だと、本音を言える。
「よかったね、タマは麻里が大好きなのね。」
「うん、大好き!」
目から、水がこぼれ落ちる。
「泣かないの、麻里。」
「どうしたの、お母さん?」
ギュッと、ユウナを抱きしめて上を向く。
「ううん、ゴミが入ったみたい。」
ユウナが舌で、目を舐め舐めする。
「もう、親子でいちゃいちゃしないの。」
ラーメンが、来た。
ユウナに、チャーシューを少し分ける。
おいしい、細麺と塩辛いスープが絡み合う。
馬肉チャーシューも、とろけてうまい!
お昼の二時間、しかも平日しかやってない。
こっちにいる内に来れて、良かった。
もう、ユウナが食べ終えた。
「お母さんの、少し食べる?」
「ううん、いらない。」
たまごっちをやり始めた。
「タマ、いつ大人になるのかなぁ。」
「当分、無理じゃない。まだまだ、赤ちゃんだからね。」
「そうか、うらやましいなぁ麻里。私も、子供欲しいなぁ。」
「美奈子、いい人いないの?高校の時、農林高校の松橋君と付き合ってたでしょ?」
「今は、いない。仕事が楽しいから、満足はしているのよ。そう言えば、陽介が帰っているらしいわよ。」
ユウナが、ビクッとした。
「美奈子、それはちょっと。」
「あっ、ごめんなさい。陽介と私、いとこなのよ。」
「初めて、知ったわ。全然、似てないわね。」
「あいつ、誤解されやすいけど意外と優しいのよ。見た目の割に、清潔だし。」
「うん、知ってる。ユウナの事で、話し合いした事あるから。でもね~。」
「そうよね、麻里もタマちゃんが大事だからね。」
ずっと、ユウナが私を見上げている。
「大丈夫よ、お母さんは反対はしてないから。慎吾の事も、気にしなくていいから。」
黙って下を向く、ユウナ。




