洞窟ダンジョン。4
迫って来るゴールデンベアに、文太君が立ち向かう。
横合いからユウナが魔法を撃ち込もうとするけど、ゴールデンベアの毛先が肥大化して阻まれる。
「お姉ちゃん、撃って!」
「ムリ~!」
「ハク、ユキ、替わって!」
「ユウナ、怖いよう。」
「エクストラルヒール!」
ユウナが、私に手をかざす。
あっ、なんか落ち着いて来た。
「ありがとう、ユウナ。これなら、大丈夫。文太君は?」
あら、角が生えて真っ赤になってた。
身体も、大きくなってゴールデンベアと殴り合いをしている。
「あれが、じっちゃんのスキル唯我独尊だよ。今声をかけても、通じないよ。楽しそうに、笑っているでしょ。」
「うん…。あの頃の文太が、蘇るわ。」
「じっちゃん戦争行くまで、番長だったんでしょ?」
「ええ、そうよ。それにしても、邪魔していいのかしら。」
「そろそろ、倒そう。お姉ちゃん、滅失矢を出して。」
「メシヤって、何?」
「お姉ちゃんのスキル、先の上級魔術の上の星系魔術だよ。」
態勢を整えると、燃え盛る光に包まれた黄金の矢が弓につがえられた。
「じっちゃん、行くよ!撃って、お姉ちゃん。」
ユウナが文太君にピコピコハンマーを当てた瞬間、私は指を離した。
文太君が離脱したゴールデンベアの眉間に矢が突き刺さり、ごう音と共に仰向けに倒れた。
そのまま体躯は消え去り、大きなオリハルコン
が残されていた。
「わっ、大きい。ユウナ、あれってどの位?」
「わかんない、じっちゃんに聞こう。」
「あれ、寝てる。ユウナ、何したの?」
「ピコピコハンマーで、ちょっと叩いただけだよ。起きて、じっちゃん!」
「おぅ、ゴールデンベアはどこじゃ?」
「お姉ちゃんが、倒したよ。」
「そりゃ、大したもんだ。ユウナ、又わしに幻惑をかけたな。」
「だって、ジェネラルオーガになったらただの狂戦士になっちゃうんだもの。じっちゃん、このオリハルコンっていくら位なの?」
「そんなことより、覚醒しておるじゃろう。どうだ?」
「どうだって言われても、お姉ちゃんはどう?」
「私も、良くわからないわ。」
「そうか、帰ったらステータスで確認するかの。オリハルコンは、売り物にならないから西根打ち刃物屋に持って行くぞ。」
「えーっ、売り物にならないの?何で、西根のじいちゃんの所?」
「高価過ぎて、一企業やギルドには手が余る。西根さんは、この世で唯一オリハルコンの加工が出来るからな。」
「売るとしたら、いくら?お姉ちゃんが、知りたいって。」
「ちょっと、ユウナ!」
「まっ、これだけ大きいなら兆は超えるな。」
「桁が違い過ぎて、良くわからないわ。ユウナ、ちょっと休みましょ。」
安全地帯に戻って、お茶を飲む。
ボス部屋が閉まり、新たなボスが召喚されたらしい。
「又、ゴールデンベア倒したらもう日本に居れなくなるわね。」
「ゴールデンベアは、百年程復活しないからおそらく今はシルバーかグレーベアじゃろ。だいぶ途中で刈り取ったが、どちらかはまだ残っておろう。」
「へぇ、貴重なんだオリハルコン。」
「じっちゃん、西根のじいちゃんに加工してもらったら凄い武器になる?」
「あぁ、麻里ちゃんの弓もオリハルコン製だ。そのかわり、出来たら膨大な魔力を注がねばならないがな。お前が居るから、大丈夫じゃろ。」
「えっ、知らないよボク。」
「お前の母様もやっていたのじゃ、やってみたらいい。」
「母さんって、凄いワンコだった?」
「聖獣の中の神獣だからな、凄いとかわし如きが言えんわ。」
「母さん…。」
うなだれるユウナを私は胸の中に、抱きしめる。
「ユウナ、ママよ。」
「ママ~、グジュグジュ!」
「やはり、ユウナはまだ子供だなぁ。成獣になるには、ちと早いか。麻里ちゃん、ユウナを甘やかせてやってくれ。」
「はい、文太君。文太君も、甘える?」
真っ赤になって咳き込む、文太。
何だか、かわいい。
私、ばっちゃんでもいいかも。
「ママ~。」
「どうしたの、ユウナ?」
しきりに私のおっぱいに、すがりつく。
「どうしたのじゃ、ユウナは?」
「ごめん、あっち向いて文太君。」
ユウナに、おっぱいを宛がう。
「ゴクッ、ゴクッ、チュー、チュー、ゴクッ、プッハー、ゲボッ!おいちい、ママ。」
「いいわよ、文太君。」
「何じゃ、何をしておったのだ?」
「ユウナにね、授乳してたの。」
「それで、ユウナはワンコに戻らんかった訳か。いやー、助かる。ほんに、麻里ちゃんは神獣様だわい。」
「私、ワンコじゃないわよ。でもユウナ、月食の時にワンコに戻ったわね。」
「神獣化、しておるのかのう?」
「ユウナ、あれ以来ワンコになってないの?」
「うん、あれ一度きり。毎日、おっぱい飲んでるから平気なのかなぁ。」
「毎日か!うらやましいのう。」
「じっちゃん!」
「文太君…。」
「んっ、イヤイヤ済まん。わし…。」
「さっ、帰ろう。」
「帰りも、熊を狩りながらなの?」
「もう狩り尽くしたから、たぶんいないよ。明日になったら復活するけどね。だよね、じっちゃん。」
「文太君、大丈夫?」
「あっ、帰ろうか。」
帰りに西根打ち刃物店に寄って、ユウナと麻里の防具と武器を拵えてもらう事になった。
「お嬢ちゃん方、お互いにスリーサイズを測ってくれ。オラには、無理だで。」
「わっ、お姉ちゃん大きいね。余裕でメートルクラス、あるんじゃない?」
「そんなに、無いわよ。ユウナ、細いわね。うらやましい、ちょっと憎たらしくなってきた。」
文太が、鼻を押さえて店を飛び出した。
「じっちゃん、どうしたんだろう?」
「タバコでも、吸いに行ったんじゃない。」
意外とウブね、文太君。
「武器は、どうする?」
「私は、弓があるから。ユウナは?」
「魔導杖を作るのと、短剣を対で欲しいな。お姉ちゃんも、短剣作りなよ。後、じっちゃんの盾と矛だね。」
「じっちゃん、こんなに作れるかなぁ。」
「大丈夫だ、オリハルコン製なら薄く作れるから。西根さん、だいぶ手間かけるが仕上げはいくら位かかる?」
「使った材料以外もらえれば、手間賃は要らねえ。それで、ええかの?」
「ほんまに、それでええのか?さすが、当代一の名工だ。」
「褒めても、何も出んぞ。新しい嫁と娘に、なんかしてやれ!」
「なっ!」
「ママ~。」
「行こか、麻里ちゃん、ユウナ…。」
「毎度~。」




