洞窟ダンジョン。2
トイレから戻って来ると、荷台のわんこ達が先行して坑道に入って行った。
今日はあの狼達では無く、おじいさんの所の秋田犬がお供だ。
縄張りが、違う様だ。
狼達は、ダム湖周辺。
秋田犬達は、廃坑跡が中心の様だ。
廃坑では、他の狩猟者と一緒になる事もある。
狼よりは、犬の方が安心なのだろう。
ユウナは、ハクって言う一番大きな秋田犬に乗って行った様だ。
私と文太君、二人で並びながら入り口に入る。
少々、気まずい。
話す事はあるけれど、お互い無口だ。
先行していたユウナが、枝分かれした所で待っていた。
「廃坑だから、あんまり魔物いないね。」
「コウモリは、おったろう?」
「うん、ハク達がやっつけた。ミューちゃん、どっちに進めばいい?」
「ヴッ、ヴゥー!」
文太君の頭の上で、右側を促す。
「じゃあ、行くよ!」
「待ちなさい、ユウナ。ここからは、わしが先行する。後ろから、麻里ちゃんを守りながらついてきなさい。」
「はーい、ユキじっちゃんについて行ってね。」
しばらくすると、文太君が立ち止まった。
灰色の熊、文太君より大きい。
3メートル位はある、厚みも相当ある。
盾を構えて、ユウナに合図する。
「お姉ちゃん、弓で援護して。ボク、前に出るからハクここをお願いね。」
ユウナが、刀に手をかけて前に出る。
私も、弓矢で熊の関節部分に叩き込む。
「じっちゃん、退がって!ティッ、スパッ!」
灰色熊の首が、向こうに転がっていく。
すごい、ユウナの腕前がこれほどとは。
灰色熊は、魔石だけ残して消えた。
洞窟ダンジョンは、事切れると魔石を残して消えるんだって。
「じっちゃん、灰色がいるからには金色もいるね。」
「あぁ、間違いなくいるな。ゴールデンベアなら、まずボスと見て間違いなかろう。後は、他にグレーとシルバーベアがどのくらいいるかだな。」
「あの熊より強いのが、まだいるの?」
「さっき、麻里ちゃんが覚醒の事言っておっただろう。運が、いいの。下の階層に、奴が待っておるぞ。」
「そうだよ、お姉ちゃん。ゴールデンベアなら、ボクも一緒に覚醒出来るよ。」
「へっ、ユウナって覚醒していないの?それで、さっきの戦闘力。」
ドヤ顔のユウナが、こちらを向く。
「ユウナ、魔石を回収せんか!また、剣術でごり押ししおって。魔術師なんじゃから、もう少し効率的に狩りなさい。」
「えー、面倒くさい。」
「この、脳筋娘が!」
ユウナは、文太君に似たらしい。
それにしても、ユウナは魔術師なのね。
男の部分が残っているから、魔女っ子は恥ずかしいのかな。
「お姉ちゃん、帰ったらステータス見るの楽しみだね。」
「うーん、上がった実感はないけどなぁ。」
「何、言ってんの。さっきだって、ズバズバ弱点狙ってたじゃん。」
「ユウナのあの剣術を見るとね。それより、文太君あんなに大きい熊にも全然びくともしないのね。覚醒、してるの?」
「してるはずだけど、スキルを使っている所見た事無いんだ。さっきのは、じっちゃんの素だから。」
「うわぁ、化け物ね。」
「麻里ちゃん、そんな事言わんでくれ。」
文太が、しょんぼりする。
「ゴメン、ゴメン。でも、そんなに強いんなら頼りになるわ。よろしくね、文太君!」
照れる、文太。
「じっちゃん、ガンバレ!」
「何を何がじゃ?」
「ほい、来たよシルバーベア。」
銀色に胸に月の輪が、ある。
体長は、5メートル。
さっきの倍近く、ある。
文太君が、抑え込む。
ハクとユキが背後に回り、嫌がらせをする。
私も、魔石のある頭を避けて弓を叩き込む。
ユウナが、目を瞑って何やらやっている。
「じっちゃん、行くよ!」
文太君と犬達が、壁際に退がる。
ユウナが構えた腕から、雷の様な光が飛ぶ。
熊に当たると、腕を振り回しドーンと仰向けに倒れる。
文太君が、背中の斧で首を刎ねた。
魔石を残して、消えた。
さっき程の倍くらい、今度は銅では無く銀だった。
と言う事は、ゴールデンベアなら金がザクザクよね。
「お姉ちゃん、笑顔が黒いよ。」
「あら、そんな事は無いわよ。それって、本物の銀なの?」
「違うよ、ミスリルだよ。銀なんかより、ずっと価値があるんだ。この位なら、豪邸が二、三軒建つね。ちなみに、ゴールデンベアはオリハルコンだからミスリルの10倍くらいだね。」
わからん、ファンタジー過ぎて。
とりあえず、今のままで相当お金持ちだよ。
「ユウナ、一旦帰らない?」
「何で、せっかく覚醒出来るんだよ。」
「だって、ゴールデンベアって相当強いんでしょ?」
「もしかしたら、じっちゃんのスキル見れるかもよ。」
何、ワクワクしてるのよ。
「心配、しなさんな。麻里ちゃんは、わしが絶対守るから。」
何、今キュンって音が聞こえたわ。
あれっ、ユウナこっち見ないで。
「お姉ちゃん、何ニヤニヤしてんの?気持ち、悪い!」
えっ!




