武器屋。
帰る途中で、ユウナがどこかに寄った。
「ここは?」
「武器屋だよ、装備を揃えないとダンジョンには入れないよ。」
「ダンジョンって、何?装備って、何するつもりなの?」
嘉成銃砲店、生徒会長だった先輩の実家やないかーい!
「おっちゃん、西根のじっちゃんに頼んでたの研ぎ終わってる?」
「おう、今取ってくるわい。」
ユウナが、一振りの刀らしき物を受け取る。
鞘から取り出し、ずっと刃紋を睨んでいる。
鞘に納めて、台に置いた。
「ねえユウナ、これって真剣?」
「うん、居合道で使うから手入れしてもらってたの。」
「お眼鏡に、叶ったかな?ユウナの注文は、厳しいからの。」
「うん、ばっちし!」
「って言うか、あんたそんなの持って大丈夫なの?」
「免許なら、持ってるよ。何なら、猟銃も撃てるよ。」
「さいですか、聞いた私が馬鹿でした。」
「そう言えばさ、お姉ちゃん弓は持ってないの?」
「弓?アーチェリーとか、弓道とか?」
「エルフなんだから、弓得意でしょ。何なら、買ってあげるよ。」
「あのね、どっから仕入れたネタか知らないけど。私、弓なんか扱った事無いわ。」
「でも、弓術スキル持っているよ。」
「おっちゃん、射撃場貸して。後、この店で一番いい弓と矢使わして。」
「ほれ、鍵と弓矢だ。」
「行こ、お姉ちゃん。」
「これって、どうするの?」
「お姉ちゃん、腕力があるから普通に使えるよ。ほら、こんな風に引き絞って的よりちょっと上を狙って放つ。」
「ユウナ、上手ね。運動神経無いのに、武術は強いのね。」
「お姉ちゃん、もっと後ろに引いて。そんな感じで、放ってごらん。」
「わぁ、当たった!」
「どんな感じ、もう少し小さい方がいいかな?」
「大丈夫だけど、持ち運びは不便ね。」
「じゃあ、こっちのボーガンにしようか?」
その後、ボーガンの適性も問題無く使える事がわかった。
「おっちゃん、こっちのボーガンと付属品もちょうだい。」
「おっ、待ってな。ほれ、これおしゃれやろ。」
「支払い、振り込みでええの?西根のじっちゃんの分も、よろしくね。」
「じゃあ、これが依頼書な。ユウナの分は無理だけど、お嬢ちゃんの分は勉強しといたからな。」
「ありがとう、おっちゃん。」
「ありがとう、ございました。」
「これで、お姉ちゃんもダンジョンに潜れるね。」
「ねえ、ユウナは今でもダンジョンに行っているの?」
「ううん、人化してからはとんと。お姉ちゃんは、長生きだから潜った事あるでしょ?」
「人をお年寄りみたいに、言わないで。私も、両親が亡くなってからは。」
「時間があったら、行ってみよう。浅瀬なら、危険も無いから。」
「そうね、私もエルフの勘が鈍ってきてるし。」
「お帰り、マイハニー!」
お前、誰やねん。
慎吾が、ユウナに纏わり付いていやらしい笑みを浮かべている。
「ただいま、慎吾宿題やった?」
「うっ、そこのカイデーパイオツ。我の課題、やって置くように。…痛ッ!」
弟は、放て置いて母の所に行く。
【ただいま!】
「お帰り、麻里夕飯手伝って。ユウナ、慎吾の面倒みて上げてね。」
「お帰りなさい、慎吾も。」
「お帰り、パパ!」
「おう、新婚さんみたいだな。ほら、モンブランの生シュークリーム買って来たぞ。」
【やったー!】
「お帰りお父さん、ご飯もう出来ているわよ。」
「では、慎吾、ユウナお手々洗いに行こうか。」
お父さんには、二人共まだ小っちゃい子供らしい。
それぞれ食卓に着いて、夕食が始まる。
気張る事無く普通の食材に、お母さんの優しさがうかがえる。
「お父さん、明日も暇だから久しぶりにダンジョンに潜りたいんだけど。」
「大丈夫かい、ダムが出来てから多少様相が変わっているぞ。」
お父さんは、私とユウナの素性を知っている。
何せ、私達は下手したらお父さんの祖父母と同世代だ。
「私も大分ユウナに鍛えられたし、一人じゃないから。」
「そうだな、ユウナがいるなら大丈夫だな。おじいさんには、連絡ついたのかいユウナ?」
「じいちゃん、東雲の森に潜っているって。明日帰ったら、ここに連絡してってギルドに言って来た。」
「じゃあ連絡会ったら、伝言預かっておくわね。」
「お母さん、明日仕事は?」
「夏は暇だからね、週一位しか仕事無いのよ。」
お母さんは、スキー場の管理人さんだ。
確かに、夏は暇だ。
「俺も、連れて行けよ!」
「慎吾は、子供だから無理よ。」
「ユウナだって、ガキンチョじゃん。」
まぁ、確かに。
だが、一般人の子供である慎吾には危険だ。
「連れて行こうよ、お姉ちゃん。」
「えっ、いいの?」
「うん、慎吾ならそんなに足手まといにならないよ。」
運動神経抜群で頭の回転も早い慎吾なら、何とかなるかもしれない。
それでも。
「やった!パパ、ママ行ってもいい?」
「ちゃんと、お姉ちゃんの言う事聞きなさい。ちょっとでも逆らったら、その辺に置いて来ていいぞ。」
「うん、ユウナ俺が守ってやるからな。」
その根拠の無い自信は、どこからなのよ。
「よろしくね、慎吾。」
慎吾がユウナの頭を撫でて、ご満悦だった。
「ユウナ、洗い物手伝って。お母さん、お父さんとゆっくり晩酌しておいて。慎吾は、明日早いから風呂入っちゃいな。」




