ギルド。
翌日、午前中に私達はお墓参りに行く事にした。
山深い林の中にある滝の横に、人目を避けて佇んでいる。
ユウナのお母さんの傍らに、私の両親も眠っている。
そして、街のホテルに三浦さん達を尋ねる。
「ユウナ、良かったわね。麻里ちゃん、ありがとう。」
「うん、麻里のお母さんの車運転しやすい。」
「三浦さん達は、どうするんですか?」
「スタッフは落ち着いたら、ロケハンね。私は、実家に顔出して来るわ。撮影は、明後日からだからゆっくりして。」
「じゃあ、連絡待ってるね。みんな、気をつけてね。」
「ユウナ、今日どうする?」
「うん、オリビアに寄ってお昼食べよう。」
街のほぼ真ん中にある、喫茶店。
ユウナのおじいさんが、無類のコーヒー党でよく連れて来られたらしい。
「おばちゃん、お昼ご飯食べていい?」
メイド服を着た、可愛い美幼女が立っていた。
「あらら、ユウナ帰ってたの。麻里ちゃんも、一緒?マスター、ユウナと麻里ちゃんよ。」
奥からアフロの、怪人が出てきた。
美幼女と、野獣。
「ユウナも、麻里ちゃんも大きくなったな。ゆっくりして、いきな。」
「おばちゃん、ボクハンバーグセット。お姉ちゃんは?」
「私は、ナポリタンお願いします。」
「はい、これサービスね。」
ミックスジュースだ。
【ありがとう、ございます。】
なかなか、盛況で混み合っている。
ナポリタンと、先にコーンスープがきた。
「ふぅ、おいしい!」
たぶん、日本一おいしいナポリタンだ。
コーンスープも、どうしたって言う位濃い。
ハンバーグも、きた。
ユウナがハンバーグを食べれるのは、このお店のおかげだ。
私も、一口もらう。
ほぅ、口の中に広がる肉汁。
豊潤な香りの、デミグラスソース。
これは、ヤバい奴だ。
ユウナが、白目向いている。
「ユウナ、ユウナ!」
「あっ、お姉ちゃん。」
「ユウナ、大丈夫?」
「うん、人参食べて!」
「食べなさい、体にいいのよ。」
「うるさいな、ババァ。」
「何ですって、ちょっと来なさい。はい、アーン!」
「ゴメンナザアイ、ユズジテ!」
「ふふふ、相変わらず仲いいわね。これ、おじいさんに渡して。後、これは麻里ちゃん家にね。」
ユウナには、コーヒー豆が入った袋。
私には、手作りのバウンドケーキだった。
しかも、又お代は無料らしい。
【ごちそうさまでした、ありがとうございます。】
「お姉ちゃん、ギルドに行くね。」
「ギルドって、何?」
「知らないの、冒険者ギルドに決まっているじゃない。」
おい、ただの狩猟組合やないかい。
おじいさんに会いに、来ただけか。
「こんにちは、ギルマスいますか?」
「おっユウナ、久しぶりだな。組合長なら、明日の夕方まで帰って来ないぞ。東雲の森に、潜っている。」
通じるんかい!
「わかった、帰ったら麻里の家に電話してって伝えて。これ、お土産。」
先もらった、コーヒー豆を渡していた。
「ユウナ、いいの?」
「みんなも、好きだからね。ちょっと、学校行こう。」
「そうね。部活やっている時間帯だもんね。」
途中で、アイスクリームを差し入れに買った。
車を武道館の横に停めて、中に入る。
威勢のいい掛け声と共に、竹刀を打ち合う音が響く。
「タマ、夏休みか?進藤先輩も、お久しぶりです。」
「クンカ、クンカ!」
ユウナの背後に纏わり付く、一体の女の子。
「竜子、何してんの?」
「ホンモノだ、おいしい。」
「健、アイスクリーム買って来たで。皆で、食べや。」
「はい、アーン!」
努似のイケメン女子の竜子ちゃんが、ユウナに甘えている。
「進藤先輩、平川に会ったんですか?タマ、大変だったでしょう?」
「うーん、おかげでユウナと一緒に暮らせているからね。」
「へぇ、良かったなタマ。ちゃんと、先輩の言う事聞くんだぞ。」
「うん、わかった。」
「タマちゃん、時間あったら稽古つけてください。」
「練習見る位なら、かまわないよ。」
誰も、私に教えてとは言わない。
ユウナ、ばっかりだ。
あらかた、指導は終わったみたい。
ユウナは、褒めて長所を伸ばす指導をする。
決して、怒らないし強制もしない。
自分に出来ない事が多いから、相手に求めないのだ。
それに私達は、人間と寿命が違う。
長い目で、見れる。
そして、皆に見送られて家に帰る事にした。




