熊の胆。
『なした、バカ努。竜子には、電話したわよ。』
『済まなかった、まさか高橋があんな事するなんて。昨日、両親が田舎に連れて帰ったよ。本当に、ケガは無いか?』
『大丈夫だし、どうでもいいよ。お前は、平川ちゃんを大事にしろ。』
『ありがとう、本当に気をつけろよ。タマは、絶世の美少女なんだから。』
『まあね、それはしょうがない。お前のオヤジさんから、お米送って来たぞ。ありがとうね。』
『オヤジは、タマが大好きだからな。今でも、リトルリーグの優勝記念写真大事に飾ってるよ。』
『ボクの、黒歴史。』
『何、言ってるんだ。うちのチームが、後にも先にも優勝したのはあの時だけだ。俺は、今でもお前が最高のエースだと思っている。又、お前の投球を受けたいよ。』
『ムリムリ、お前はそのまま頑張れ。気が向いたら、平川ちゃんと遊びにおいで。麻里が、美味しいご飯作ってくれるから。』
『麻里が、一緒にいてくれるのか。良かった、麻里にもよろしくな。』
「努、元気だった?」
「相変わらず、馬鹿だった。」
「ふふふ、お米助かるわね。」
この間、麻里の実家からもじゅんさいが届いていた。
じいちゃんが、熊肉いるかと言って来たのでさすがに断った。
「お姉ちゃん、今日もジムに行くよ。」
「ちょっと、今日は無理。」
「何か、あったの?」
「私ね、二日目なのよ。」
「あっ、そうなんだ。やっぱり、しんどいの?」
そっか、ユウナには来ないのか。
「うん、運動はさすがに無理ね。」
「じゃあ、ボクがご飯用意してあげる。」
「やめて、ユウナ何もしなくていいから。」
「ボクだって、料理位出来るよ。」
「何、作れるの?」
「例えば、フルーチェとかフルーチェとか。」
「やっぱり、私がするから。日常生活は、問題無いから。」
「あっ、そうだ。」
ユウナが、冷蔵庫をゴソゴソやっている。
何か、赤黒い手の平サイズの物を持っている。
「それ、何?」
「熊の胆だよ。何にでも効く、万能薬なんだ。これ位で、20万位するんだって。おじいちゃんが、持たせてくれたの。」
渡されたそれは、カッチカッチに硬かった。
「これ、どうすんの?」
「舐め舐めして、身体にいいから。」
変な匂いは、しない。
「ウッ、苦~!」
「良薬は、口に苦しだよ。もっと、舐めて。」
「う~っ、もう無理。これって、本当に20万するの?」
「おじいちゃんは、自分で獲った熊から作るからただだけど。市場に出たら、もっとするみたいだよ。」
「そうなのね、もういいわユウナ。」
「はい、雪見だいふく。」
はぁ、落ち着く。
マタギって、大変。
「ねぇ、ミュウちゃんも山で獲ったの?」
「うん、おじいちゃんが産まれたばかりではぐれて死にそうだったから拾って来たの?だから、ボクの妹なの。」
「へぇ、もしかしてユウナってミュウちゃんとお話出来たりする?」
「うん、あの辺の山の子達は大体出来るよ。」
凄っ、本当に不思議な子だわ。
むしろ、良く人間社会に馴染めたわね。
拾ってくれたのが、おじいさんで良かったわ。




