入学式。
「おはよう、ユウナ。顔、洗ってらっしゃい。」
パンとスープを温めて、ベーコンエッグを焼く。
昨日は、久しぶりに一人で寝たので万全だ。
寝る前に、おっぱいをねだられたけど。
「おはよう、ムゥ。」
「もう、パン食べながら寝ないの!」
同棲生活が始まったけど、普通に家族だな。
着替えて、メイクもバッチリ。
ユウナも私も素材がいいから、それほど手間はいらない。
忘れ物も、無し。
「ユウナ、行くわよ。もう、ミュウちゃんは連れて行けないわよ。」
「だって、ゴメンね。大人しく、留守番しててね。」
「今日は、入学式は一緒だけどオリエンテーションは別々よ。一人で、大丈夫?」
「うん、大丈夫。帰りは、一緒?」
「そうね、駅にロッテリアがあったからそこで待ち合わせしましょう。お金、持ってる?」
「うん、ほら。」
がま口を胸元から、引っ張っり出した。
ジャリ銭しか、入ってない。
「これも、持ってなさい。一度に使ったら、ダメよ。」
私は、千円札を何枚かねじ込む。
ユウナが、切符売り場で立ち止まった。
「お姉ちゃん、これどうやって買うの?」
「ユウナ、定期は買ってないの?」
「うん、ボクは文系だから毎日学校無いし。お仕事とか、あるから。」
そうか、田舎だったら優しい駅員さんがいるものね。
「自動だからね、ここにお金入れて目的地の金額のボタン押すの。覚えた?」
「ほぅ、便利だね。」
頭はいいのだから、一度教えれば何とかなる。
ホームに出ると、青い列車がやってくる。
通勤時間ではないが、着飾った若者がチラホラいる。
色んなところで、入学式が行われるのだろう。
駅を出ると、正面にマクドナルドがある。
大学と反対方向に、ロッテリアがある。
ここなら、さほど混まないだろう。
「ユウナ、あそこの2階がロッテリアね。」
「うん、わかった。」
門をくぐると、一人の男性が近づいてきた。
腕章をしている、ここの職員らしい。
「おはようございます、新入生の如月さんですね?」
何、もうバレた。
いや、それは無いか。
「うん、そうだよ。」
相変わらず、敬語が使えない。
「総代の草稿は、あのままでよろしいとの事です。とりあえず、控室に来てくれるかい。」
「お姉ちゃん…。」
「えっと、ユウナが何かしたんですか?」
「えっと、君は?」
「如月の保護者で、ここの医学部の新入生です。」
私は、学生証を差し出す。
「保護者、あぁ学長が言ってたお母さんか。」
「なっ!」
「お母さんじゃないよ、お姉ちゃんだよ。」
「そうだね、ゴメンね。如月さんが、新入生総代で挨拶するのでね。」
「ユウナがですか?」
「あぁ、成績最優秀者だからね。よければ、進藤さんも一緒に来てもらえないかな。学長からも、そう言われてるし。」
全く、この子は。
「わかりました、よろしくお願いします。」
「お姉ちゃん、喉渇いた。」
「ちょっと、待ってください。」
ユウナのリュックから、メロンパンナちゃんの水筒を出す。
「ゴクゴク、おいち!お姉ちゃんも。」
「なるほど、かわいいですね。私は、学生課の佐藤です。よろしくね、ユウナちゃん。」
「うんよろしく、おじちゃん。」
「ユウナ、おじちゃんはダメよ。」
「かまわないよ、ただ私はまだ20代なんだが。」
まっ、見た目も普通に若者だ。
ユウナにしてみたら、子供以外はおじちゃんなだけだ。
同情する。
控室に着くと、佐藤さんが原稿を持って来た。
「手直しは、してないよ。助かった、すごいねユウナちゃん。」
「フフン!」
偉そうなユウナから、原稿をもらって読んでみた。
偉そうにしてもいいわ、ユウナ。




