釣り堀。
買ってもらったごまアザラシのぬいぐるみを抱いたユウナが、慎吾に抱っこされている。
とっても嬉しそうな、ユウナ。
複雑な心境の、二人。
「ママ、すごいね。入れ食い、じゃん。パパ、ボウズだね。」
頭じゃないよ、釣果だからね。
「お兄ちゃん、引いてるよ!」
今は、水族館のレストランに併設された釣り堀にいる一家である。
アジやアイナメ、運がよければクロダイも釣れたりする。
釣った魚を持ち帰るも良し、レストランで手数料を払えば料理もしてくれる。
「麻里、すごいな。もう、バケツいっぱいじゃないか。」
「貴方も、頑張って!あっ、慎吾が大物に当たったみたいよ。」
「わっわっわ、兄さん手伝って!おりゃあ、せいっ!」
「おぅ、大きなクロダイだ。お兄ちゃん、すごい!」
「さっ、レストランに待って行こうか?」
「わっ、姉ちゃんすげーな。さすが、堅実だな。兄さん…。」
レストランで、アジの塩焼きやタタキそれからアイナメの煮付け。極め付きは、クロダイの活き作り。
「うーん、新鮮で美味しいわ。ユウナも、たくさん食べなさい。」
「うん、じゃあちょっとね。」
「ユウナ、美味しくないか?兄ちゃんが、アジの混ぜご飯作ってやるよ。コネコネ、ほら食べな。」
「うん、これなら食べれる。お味噌が、入ってるの?」
「あぁ、ナメロウって言うらしいぞ。」
「慎吾、物知りだなぁ。」
「ボーイスカウトでキャンプするときに、習ったんだ。長達に教わったサバイバル術も、役に立ったよ。」
「ユウナ、慎吾は頼もしいな。」
「うん、お兄ちゃん守ってね。」
「おう、任せろ!」
「ちょっと、貴方…。」
「いいじゃないか、慎吾は大したもんだぞ。勉強も学年トップだし、サッカークラブのエースストライカーなんだろ。お前は、身内に厳しすぎるぞ。それになんたって、麻里に似てイケメンだ。」
そうじゃない、娘の事とは言え弟には普通の幸せが訪れてほしい。
「ねぇ、慎吾はユウナの叔父になるんでしょ。結婚、出来るの?」
「えっ、お兄ちゃんって叔父に当たるのか。無理じゃん、パパ何とかしてよ。色々、戸籍とか操作してるじゃん。」
「おいっ、親を闇のブローカーみたいに言うな!慎吾とユウナは傍系姻族だから、血の繋がりが無ければ大丈夫だ。」
「良かったな、ユウナ。オレが18になったら、結婚できるよ。その時は、ユウナも大丈夫だろ?」
「うんっ、確か??ね。」
「って事は、姉ちゃんが母になるのか?兄さんは、違和感無いけど…。」
「何よ、私だってあんたが息子だなんて思いもしないわよ!」
「まぁまぁ、今まで通りでいいじゃないか。家族には、変わりないのだから。」
「パパ、抱っこ!」
「ウグッ、オェッ…。」
ママが、トイレに駆け込んだ。
「ママどうしたの、大丈夫?魚が、当たったの?」
「ううん、大丈夫よ。」
「麻里、大丈夫か?病院、行こう!」
「姉ちゃん!」
「大丈夫よ、落ち着いたら産婦人科に行ってくるわ。」
「えっ、産婦人科?もしかしたら、もしかなのか?」
「はっきりとは言えないけど、多分ね。」
「でかした、麻里やったな。」
「やったな、姉ちゃん!」
「ねぇ、ママが病気なのになんで喜んでいるのさ?」
「ユウナ、弟か妹が産まれるぞ!」
「マジ、ホントに?」
「上手くいけば、ユウナもお姉ちゃんよ。」
「やったぁ、ママ弟がいい!」
「そうね、頑張ってみるわ。」
すごいわね、鬼の精力。
避妊薬が、効果成してなかったわ。
って言うか、頑張りすぎなのよ文太。
ちょっと早いけど、、帰る事になった。
慎吾を預かって、このまま真っ直ぐ帰宅。
今日は、山越えのルートだ。
福館で国道を曲がれば、我が家まで一本道だ。
「パパ、マジカルママに寄って。」
「又、おやつか?」
「私も、寄りたい。惣菜、マジカルママなら美味しいのあるから。」
ちょうど、国道へ入る角にマジカルママのチェーン店がある。駄菓子屋と惣菜弁当屋さんが一緒になった、お店だ。
慎吾とユウナはキャッキャッと言いながら、お菓子をカゴに詰めていた。
私と夫は、子供達も食べれそうな惣菜を注文していく。
袋満載のお菓子に、ユウナはご満悦だ。
「いいな、ユウナは。こんなに、おやつ買ってもらって。」
「これ、ボクのお金だよ。給料から、いくらかもらっているから。」
「ユウナ、働いているのか?」
「そうだよ、お兄ちゃん楽させてあげるから心配しないで。」
お前は、どこの有閑マダムやねん。
「いや、ダメだ!ちゃんと一人前になって、ユウナを養う。待ってろ!」
おぅ、さすが我が弟。
ユウナ、お口を窄めて何してるかなぁ?
おいっ、慎吾!
「あんたら、乳繰り合うのは十年早いで!」
「もうママ、台無し!」
「ははっ、今どきの子供はませてるなぁ。」




