第891話 湿地帯に向かう方法
野営地周りが『伐採』で少しすっきりしたところで、ぽい、ぽい、ぽいっと紅葉を植えていく。
小さな苗の状態で植えていく私の後ろを、土の精霊たちがついてきて、ひょろり、ひょろりと、紅葉を成長させていく。
「あんまり、頑張りすぎないでね~?」
彼らにそう声をかけるけれど、まったく気にかけることもなく、人型の子たちは楽しそうに踊りまくっている。
これは私が声をかけたところで変わらないだろう。
私はクスリと笑いながら、紅葉を植える。
野営地の周りを三周くらいまわった頃。
『これいじょうは、まものよけのはんいからぬけるからだめー』
一緒にいてくれた精霊たちが声をかけてくれたので、私は一旦、休止することにした。
落ち着いて周りを見てみると、小さな光の玉たちが、森のほうからふよふよと集まってきているのが見えた。
――これで少しは、精霊たちも安心できる場所になってくれるといいんだけど。
そう思いながら野営地へと戻る。
「あっ! オレンジの皮、忘れてた!」
すでに1時間以上、外で作業をしてた私。慌てて、馬車の中へと駆け込んで、オレンジピール作りを再開した。
オレンジピールが出来上がった頃には、すっかりお昼は過ぎていた。
馬車の中はオレンジの匂いで充満していて、オレンジはもういいです、という感じ。
少し肌寒いけど、私は外で遅いお昼をとることにした。たぶん、エイデンたちはまだしばらくかかるだろう。
馬車から出て見ると、野営地周辺の景色が一変していた。
「だから、そんなに頑張らなくてもいいのに……」
ウッドフェンスの外に見えるのは赤く色付いている紅葉。
完全に季節外れなんだけれど、薄暗かったのが真っ赤に燃える感じに変わって、これはこれでいい。
――でも、せっかくなら黄色い葉もあってもいいよなぁ。
すっかり、精霊たちのためというよりも、ガーデナーな気持ちのほうが勝ってきたのだが。
くぅ~
私のお腹が鳴った。
「そうだ。まずはお腹を満たさないとね」
苦笑いしながら、私はタブレットの『収納』から、テーブルや折り畳みの椅子、そして作り置きのおにぎりと、お茶の入った水筒を取り出した。今日のおにぎりは梅干しと昆布の佃煮だ。
一人、おにぎりをモグモグと食べながら、考える。
この森の精霊たちは、土や水、風に光の精霊たち。さすがに火の精霊はいない。
野営地には色々な精霊たちがいるけれど、水の精霊はほとんどいないのだ。
――湿地帯まで魔物に襲われないようにしながら進むには。
ここは再び『タテルクン』の出番だろうか。
背の高いウッドフェンスではなく、あくまで身を守るためだけだったなら。
「ガーデンフェンスでも挿してみるか」
うちの山の周辺を囲ったガーデンフェンス。これでいけそうな気がする。
『さす? さす?』
『どこに?』
『どこにさす?』
私が何かやるというのを察知して、精霊たちが集まってくる。
「湿地帯のある方向のわかる子~」
『しっちたい?』
『みずのがいるとこだろ?』
『それなら、あっちじゃない?』
人型の風の精霊が東のほうを指さすと同時に。
ドーンッ
激しい爆発音が響いた。
活動報告更新しました。
『1月18日(日)文フリ京都に参加します。』
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お時間あったら、のぞきに来てみて下さいね。





