第889話 精霊の憩いの地
エイデンは再びネドリさんたちのところに戻って行った。今度は精霊たち抜きで。
そして人型の精霊の中でも風の精霊たちが、風の精霊王様にチクってくるといって、うちの山のほうに飛んで行った。
今は精霊王様たちが勢ぞろいしているので、風の精霊たちから伝わったら、エルフの里並みに大きな話になりそうだ。
そんな中、私はタブレットの画面とにらめっこ中。
精霊たちが守られる環境を作ってあげねば、と思ったのだ。
そのためには、まずは結界が必要だろう。
私は野営地の周りに結界を張るために、まずは『タテルクン』でウッドフェンスで囲っていくことにした。
野営地にした原因でもある、エイデンが倒した大木の再利用だ。
空地と木々との間の地面に、『収納』から取り出した大きなシャベルを使って、線を引いて範囲を決める。
「はい、ポチッとな」
タブレットの画面でウッドフェンスを選ぶと、ストトトトーンと建っていく。
一部、出入りができるように開いた場所を作っておいたので、ここには木製の大き目な門扉を設置した。
一応、精霊たちが入って来やすいように、今は門は開け放っているけど、悪意をもった人や魔物は入って来れないはずだ。
――これで、結界は完了かな。
しかし、野営地にしている場所はテントと馬車があるだけで、ほとんど荒れた状態なのは変わらない。
ガタガタな土地を『ヒロゲルクン』で『整地』する。それに、『植樹』のメニューで桜の苗を一本植えてあげた。
土の精霊たちが嬉しそうに桜の苗の周りに集まりだしたけれど、力が強い子はいないようで、いきなり成長する様子がなくて、ホッとする。
――あとは……『収納』のストックで使える物って何かあったかなぁ。
こちらで生活してきて、三年半くらいになるだろうか。あちらで買って使わなくなった物や、こちらで頂いたり、買ったりした物でしまったままの物も多数ある。
タブレットの機能の『廃棄』なり、『売却』なりをしてもよかったけれど、勿体ない精神が発動して、そこまでに至っていない物がかなり残っていたりする。
――こういう時こそ、使い時ってやつよねぇ。
使えそうなのは。
「ガーデンライト~」
ソーラーパネル付きのガーデンライトを取り出した。
これは元はログハウスの敷地からあちらに抜けるトンネルのある道にあったガーデンライトで、一部、ギャジー翁たちが作った物と交換していた物。
「まさか、こんなところで使うことになるとはねぇ」
ウッドフェンスの際に少し間隔を開けて挿していく。
『わー、そーらーぱねるだー』
一緒についてきていた光の精霊たちが、ソーラーパネルに張り付き始める。それを見ていたのか、真似をしだした小さな光の玉たち。彼らも光の精霊なのかもしれない。
「あとは水場があったらいいんだけど」
うーん、と考えていると、小さな光の玉が集まってチカチカし始めた。
「何?」
『あー、すこしはなれたところに、しっちたいがあるみたい』
「へぇ!」
『でも、ちょっとさつきにはむりかも』
「え、なんで」
『まものがいるから』
「……確かに、無理だわ」
これはエイデンたちが戻ってきてから、相談しよう。
「まぁ、一時避難的な場所はできたから、まだ無事な精霊たちを呼んできて」
『まかせて~!』
『いっくぞー』
人型の精霊たちが勢いよく飛んでいった。





