第885話 朝食はベーコンエッグ
一夜明けて、テントの外に出ると、薄っすらと靄がかかっている。テントを張った空地にようやく朝日が入り込んできたようだ。キラキラと反射する光景は見惚れるくらい。
ログハウスの周りでも見ることができる光景だけれど、場所が異なると雰囲気も違う。
違いと言えば、精霊の違い。
私の周りに人型の子たちが数人、いっしょにここまで来たけれど、この森に来てみて、精霊の数の少なさ、いてもとっても小さな光の玉の状態にびっくりである。
「おはようございます」
「おはようございますっ!」
ネドリさんとガズゥが剣の稽古をしていたが、テントから出てきた私に気付いたようで、声をかけてきた。額の汗を拭うイケメン親子。眼福である。
テントの中にはすでにエイデンの姿もなく、私が一番最後になってしまったようで、若干申し訳ない。
「おはようございます。エイデンは?」
「エイデン様でしたら、周囲を見てくると」
「古龍の姿で飛んで行っちゃいました」
「なるほど」
古龍の姿となると、かなり広範囲を見に行っているに違いない。いつ戻ってくるかわからないけれど、きっと朝ごはんを食べに戻ってくるだろう。
私は朝食の準備を始める前に、タブレットの『収納』から折り畳みのテーブルと折り畳み椅子を出す。
「お茶も置いとくので、水分補給してくださいねぇ」
「はいっ」
「ありがとうございます」
私はヒラヒラと手を振ってから、馬車に乗り込む。
ミニキッチンで用意するのは目玉焼きと厚切りベーコン。
ベーコンは村で作ったのをお裾分けして貰ったもの。最近、燻製担当の人の腕が上がったのか、あちらで買うのよりも、美味しいと感じるものが増えた。
貰ってすぐに塊から2センチくらいの厚さで切り分けておいたのを取り出す。
「ああ、大きいフライパン用意しておけばよかった」
ミニキッチンでは簡易的にしか使わないと思ったので、フライパンはあまり大きくはない物を置いておいたのだ。仕方ないので半分にカットして焼いていく。
ベーコンを焼いている間に、ヤカンでお湯を沸かしておく。インスタントのコーンスープをマグカップに入れて、あとはお湯を注ぐだけだ。
焼き上がったベーコンを皿にわけて、次は目玉焼き。
うちの鶏産の卵は安定の大きさ。私は半熟が好きだけど、ネドリさんとガズゥはしっかり火が入ったのが好きだ。
……エイデンはどんなのでも美味しいというのでわからない。
「五月!」
馬車のドアが勢いよく開き、にこやかなエイデンが入ってきた。
「あ、お疲れ様」
「うむ。それは、持って行っていいものか?」
先に出来上がっていたしっかり火の入った目玉焼きの乗った皿を指をさすエイデン。
「そう」
「では、もっていくぞ」
ご機嫌で皿を手にして出ていくエイデン。
――こんな彼が、古龍だなんて、普通は思わないよねぇ。
私は思わずクスッと笑ってしまった。
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