第883話 調査のための野営スペースを作ろう
この村の冒険者たちでは頼りにならないのが早々にわかったので、私たちだけでアースドラゴンの生息地を確認しに行くことになった。
私はエイデンやネドリさん、ガズゥのような戦力にならないから、村で待とうかと思ったけれど、エイデンに村に残す方が不安だと言われて、一緒に行くことになった。
実際、村の中を歩いている時に、狸獣人たちからは不安そうな目で見られていたし、ギルマスのノフさんも頼りなかったのを思えば、一緒のほうがいいかも、とも思ったのも事実だ。
古龍の姿で私たちの乗った馬車を運ぶエイデン。
『そろそろ着くぞ』
エイデンの声が聞こえたので窓を覗くと、眼下には緑色の森林が広がっていた。この森の中でエイデンはアースドラゴンを見つけたということだ。
アースドラゴンは大きな身体で鱗の色はくすんだ焦げ茶色をしていたから、この森の中であれば目立っていただろう。
ドシンというエイデンの着地の音が聞こえたので、目的地についたようだ。
地面に下ろされた馬車から、ネドリさん、ガズゥ、私の順に降りる。
「うわ……」
そこはエイデンがアースドラゴンと戦った跡のようで、周りは焼け焦げた木や地面、倒木がたくさんある。広さは狼獣人の村よりも広そうだ。
「す、すまん。片づけるのを忘れてた」
「……エイデンだしね」
人の姿になってエイデンの謝罪の言葉に私は一瞬遠い目になったけれど、すぐにタブレットを取り出して、周囲に倒れている倒木を『収納』しまくった。
エイデンやネドリさんたちも手伝ってくれたおかげで、馬車の周囲は少しだけスッキリ。
その頃には日は傾き、このまま、ここで一泊することになった。
ギャジー翁が作ってくれた馬車なので、そのまま寝泊まりもできるにはできるけど、せっかくならと、私は『収納』にしまいこんでいたキャンプグッズをルンルン気分で取り出す。
しばらくキャンプをしてなかったから、ちょっとだけ気分があがる。
「じゃーん! 大型テント~!」
私一人では無理なのでエイデンに手伝ってもらいながら設営したのがこれ。
つい先日貰った、ヘンリックさんたちと、ギャジー翁たちが作った渾身の大型テントだ。大きいワンポールテントで見た目はモンゴルテントと言われるタイプ。
入口の布を上げて中に入ると、外観以上の広さ。仕切りの布が垂れ下がっていて、五部屋ほどになっている。
エイデンがテントの中で立っても余裕があるほどの高さなのは、彼が入ることを見込んでの高さなんだろう。
「ほお。ヘンリックたちも随分頑張ったのではないか」
「ね。見本で見せた本物以上になってて、びっくりしたんだけど、なかなか使う機会がなくてさ」
「ふむふむ(テントのポールに魔法陣が描かれてる……ギャジー翁だな)」
「一応、寝袋も置いとくから、皆で使ってね」
これはあちらで買ったもの。ちょっとお高めだったけれど、いつか使えたらいいなぁ、と贅沢をしてしまったのだ。本日デビューである。
「魔物除け設置してきました……って、なんですか、この広さ」
ネドリさんが中に入ってきて驚きの声をあげる。後からついてきたガズゥも声もなく、口をぱかーんと開けている。
なんとなく、勝った! と思ってしまった。
何と勝負してるんだ、というツッコみはなしで。





