第836話 クリスマスのプレゼント準備開始!
昨日の買い出しで買ってきた物を整理し終えた私。
マリンとノワールに手伝うと言われたけれど、下手に手伝われてもむしろぐちゃぐちゃになりそうだったので、外に遊びに出てもらった。
ログハウスのリビングで一息つくつもりでコーヒーを飲みつつ、そろそろ今年のクリスマスの準備を始めるかなぁ、なんて考えている。
ホームセンターやショッピングモールのBGMに感化されて、すっかりクリスマスモードに突入したのは間違いない。
「エイデンのは、フライトキャップと青地のネルシャツとグレーのセーターがあるからいいとして……」
村の子供たちへのプレゼントは何がいいだろうか。
ミサンガはすでに皆に渡している。女の子たちには髪飾りも作ったし、男の子たちにはストラップを持たせている。
服やリュックはママ軍団が作ってたし、そもそも、趣味程度の私では人にプレゼントできるレベルの物は作れない。
――参ったなぁ。
そもそも、どのくらいの数が必要かと、今、村にいる子供の数を考える。
獣人の子供たちは今はいないガズゥを含めると9人、孤児院は年少組が13人、牧場組はマカレナ含めて5人、あとはマグノリアさんのところのフェリシアちゃんに、グレッグさんのところのモモちゃん。
……合わせて29人!?
気が付いたら、こんなに子供が増えていた。子供だけじゃない。なんだかんだと移住してきている人も増えている。
さすがに村人全員に何かをプレゼントできるとは思えない。
できても、せいぜい子供たちくらいだ。
「今から数も作れる物ってある?」
うーん、うーん、と考えているところに、玄関のドアを勢いよく開けて入ってきたのはマリン。
「サツキ、サツキ、ほら見て!」
「うわ、でかっ、ていうか、冷たくないの?!」
頬や鼻を赤くしたマリンが嬉しそうな顔で、素手で持っているのは、マリンの顔くらいありそうな氷の板。1センチくらいの厚さがありそうだ。
今朝はそんなに寒いとは思わなかったけれど、そんな氷がはるくらい冷え込んだんだろうか。
「冷たいけど、冷たくないよ?」
「池の水が薄っすら凍ってたんだ。だから、もっと厚い氷にしてって、精霊に頼んだんだ」
マリンの後ろから、ノワールも大きな氷を持って入ってきた。
「何やってんのよ」
思わず笑いながら、二人の手に目がいく。指先が真っ赤になっているけど、彼らには関係ないようだ。
「……そっか」
「……?」
「指無しの手袋!」
「ゆびなし?」
指のある手袋はさすがに時間がかかりそうだけど、指のないタイプなら単純な編み方で作れるはずだ。
「二人ともありがとう!」
「……うん?」
「なんか、サツキが喜んでるなら、いいか」
首を傾げている二人を残して、私は手にしていたマグカップを片づけて、タブレットに手を伸ばす。
テーブルの上に、昨日買った物だけではなく、ストックしている毛糸や編み針を取り出す。山盛りの毛糸にマリンたちが歓声をあげて触ろうとしたけれど。
「氷片づけて! それに濡れてるでしょ」
「あ」
「はーい!」
元気に返事をしたマリンと一緒にノワールも慌てて片付けに行った。
その間に、使えそうな毛糸を選ぶ。
ホワイトウルフの毛糸も使いつつ、あちらの毛糸も混ぜるのはどうだろう。動画で二本取りとかいう編み方をしてたのが印象に残っている。
「じゃあ、これとこれと……」
最終的に、女の子は赤系、男の子は青系の毛糸と、オフホワイトのホワイトウルフの毛糸が残った。
本来、白だと汚れが目立つのだけれど、ホワイトウルフの毛糸はなぜか汚れない。
さすが異世界クオリティ。
「まずは、試しに編んでみないとねぇ……」
私はさっそく編み針と毛糸を手にして、ワクワクしながら編み始めたのであった。
村の子供たちの内訳です。
獣人の子供たち9人
ガズゥ、テオ、マル、ゲッシュ、ターナ、ミコル、モコル、
マリアン、ボビー(コントル・ケイトの息子)
孤児院年少組13人
ルルー、エリー、エフィム、ボルト、カロル、ポーラ、アマ、ガーディ、ロー(ロバート)
他に未登場の子供が4人
牧場組5人
マカレナ、ブルノ、ラオ、トコ、未登場
マグノリアの娘1人:フェリシア
グレッグの娘1人:モモ
漏れはないと思うんですけど……(^^;;
名前はないけど、存在してる子たちがいるので、どこかで出してあげたいですね。(^^;