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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
四度目の冬支度
919/961

第819話 エイデン航空(仮)、出発

 ドゴールさんとマグノリアさんの結婚の話に、村は大盛り上がり。その日の夜は、村をあげての宴になったのは言うまでもない。

 そして、商売を終えたグルターレ商会は、ビヨルンテ獣王国へと向かうとのことで、翌日の昼前には出立することに。

 昨夜の宴で村人たち(ドワーフとか、ドワーフとか、ドワーフとか)から酒を飲まされまくって、ぐでぐでのボロボロ状態だったドゴールさん。


「マグノリア~! すぐ帰ってくるからなぁ~!」


 そんな叫び声をあげながらも、パーティーメンバーに引きずられるようにして、旅立っていった。

 見送ったマグノリアさんが苦笑いしていた。

 一応、エルフの里までが護衛依頼となっているので、依頼を完遂したら戻ってくるようだ。

 何もなければ雪が降り出す前には、村には戻ってこられるだろうとのこと。

 ちなみにマグノリアさんの娘のフェリシアは単純に嬉しそう。ドゴールさんも『お父さん?』と呼ばれて、デレデレになっていた。

 息子のザックスはといえば、冒険者としてはドゴールさんのことを尊敬してはいても、自分の父親、となると微妙な感じらしい。

 思春期は難しい。


「全員乗ったか」


 エイデンが馬車の窓から中を覗き込みながら確認の声をかける。

 村の広場に置かれているギャジー翁特製の私の馬車。周囲には村人たちが集まっている。

 チャーリーたちの体調も落ち着いたこともあって、いよいよ、彼らの村へ向かうことになったのだ。

 馬車の中には、チャーリー兄弟と私、ケニーとラルルが乗り込んでいる。

 こちら(異世界)の馬車にしても、かなり上等な部類に入ることもあって、チャーリーたちは落ち着かない。ずっと車内をキョロキョロ見ている。


「本当にノワールたちは上でいいの?」

「大丈夫」

「外の方が楽しいし~」


 ちびっ子姿のノワールとマリンが馬車の上から身を乗り出してこたえる。ちなみに、セバスも乗っている。もう、本当になんでもありだ。


「え、だったら、僕たちが外に」

「いや、君たちじゃ無理だから」


 ノワールたちだから許される場所なのだ。

 私が真面目な顔で止めたら、チャーリーは顔を強張らせ、コクコクと頷いた。


「よし、行くか」


 エイデンがそう言うと、周囲にぶわーっと風が舞い上がる。


「え、な、何、何?」


 慌てるのはチャーリー。

 恐らく、古龍の姿になったのだろう。


『では、あとはたのむぞ』

「はい、いってらっしゃいませ!」


 上のほうから聞こえてくるお腹に響くようなエイデンの声に、ドンドンさんが大きな声で返事をすると、ふわりと馬車が浮かんだ。


「え? え? え?」


 チャーリーの驚きをよそに、モモちゃんは窓に張り付いて「すごーい、とんでるー」と喜びの声。


「まぁ、まぁ、落ち着いて。お茶でも飲む?」


 これからどれくらいで着くのかわからないけど、エイデン航空(仮)なら、すぐだろう。

 私はタブレットから、お茶の入った大きめの水筒を取り出した。

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