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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
四度目の冬支度
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第818話 ドゴールさんのめでたい話

 東屋に残ったのはBランクパーティー『焔の剣』の面々。私とエイデンもそのまま東屋の中へと入り、お茶をいただく。

 エイデンは獣人のマックス(熊)やキャシディ(虎)と仲がいいのか、わいわいと話している。


「サツキ様」


 そんな中、リーダーのドゴールさんが真面目な顔で声をかけてきた。


「はい?」


 テーブルに載っていたドライフルーツに手を伸ばしながら返事をする私。

 このドライフルーツは、ダンジョンの中で見つけたワサの実(リンゴと梨の中間のような味)を乾燥させたものだ。


「じ、実はですね」


 何やら緊張の面持ち。

 汗までたらりと垂れてきていて、手の甲で拭っている。


「なに、なに、なに」


 つい『焔の剣』の面々へも目を向けると、全員がニヤニヤしながらリーダーを見ている。


 ――あら? もしや、これは。


 私も思わず、ニヤッとしそうになったところで。


「マ、マグノリアさんと結婚したくっ」

「うん、すれば?」

「はっ?」


 もしゃりもしゃりとドライフルーツを食べながら返事をすると、ドゴールさんは気の抜けたような声をあげる。


「ん、だから、結婚すればいいんじゃない? マグノリアさんが大丈夫なら、それはそれでいいと思うし。だいたい、いい大人なんだしさ」


 やはり、このドライフルーツは美味しい。ついつい手が伸びる。


「よ、よろしいので」

「え、ドゴールさんは嫌なの?」

「いえいえっ! とんでもないっ! マ、マグノリアさんっ!」


 ドゴールさんは顔を真っ赤にして東屋から飛び出して行く。


「……でも、冒険者はどうするの?」


 不意に、マグノリアさんの前に亡くなった旦那さんも冒険者で、依頼途中で亡くなったから、冒険者はちょっと、と言ってたのを思い出したので、その場にいたメンバーに聞いてみる。

 確か、息子のザックスが冒険者なのも、内心、不安だけど、生きていくためには仕方がない、と思っている、と言ってた気がする。


「冒険者は続けますが、護衛などの長期不在になるような仕事は受けなくするようだぞ」


 熊獣人のマックスさんが答える。


「え、他の皆は?」

「別にリーダーが同行しなくても、サブリーダーのセッティ(エルフ)がいればなんとかなるし。まぁ、でも、チャーリーたちが育てば、奴らに任せてもいいかなと思ったりもするんだがね」


 ニシシシと笑う虎獣人のキャシディさん。


「あ、もしよかったら、村の表の宿舎、うちの系列で管理させませんか」


 売り込みしだしたのは、サントス(人族)。王都の宿屋の息子だ。


「え、え、え?」

「まぁ、落ち着け。まずはドゴールたちの様子を見ようではないか」


 エイデンがそう言いながら視線を動かすので、つられて目を向けると、ドゴールさんが顔を真っ赤にしたマグノリアさんの手を握りながら、にこやかにこちらに向かってくる姿が見えた。

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