第817話 チャーリーたちの村のことを報告する
あちこちで村人とエルフたちがやりとりをしている中、東屋でお茶をしている護衛の冒険者たち。今回も同行していたBランクパーティー『焔の剣』の面々だ。
その中には、今、教会で世話になっているチャーリーたち兄弟もいた。
精霊たちが、大丈夫、と太鼓判を押してくれたからだ。
孤児院のルルーちゃんとエリーちゃんがお茶を出してくれているようだ。
「あ、サツキさまっ」
私に気付いたのはモモちゃん。立ち上がってぺこりと頭を下げる。まだ10才くらいだと聞いているモモちゃん。礼儀はしっかりしている。
釣られるように立ち上がる面々。
「サツキ様、今回はご迷惑をおかけしました」
なぜか『焔の剣』のリーダー、ドゴールさんが頭を下げた。
「え、なんで?」
「いや、こいつらが巻き込まれたのも、俺たちが不用意に誘ったせいですし」
「そんなことありません!」
「そうです! 俺たち、ご一緒させてもらえて、凄く勉強になったしっ」
チャーリーと弟のエヴィスは否定する。
「……本人たちがこう言ってるんだし、ドゴールさんが頭を下げることじゃないでしょ」
「しかし……」
「それよりも、チャーリーたちに村のこと、伝えたいんだけど、いいです?」
「あ、はい」
チャーリー兄弟の顔が引き締まる。
「村長は息子ともども、捕まったらしいよ」
村長一家は村から出ていくことになり、代わりに領都より文官が数名駐在する形になったことを伝える。
そして母親が倒れた話をすると、モモちゃんがヒッと声をあげる。
「早く帰らないとっ」
チャーリーたちが立ち上がる。
「まぁ、落ち着け」
そう声をかけたのはエイデン。
「でもっ」
「そうだ、落ち着け、チャーリー」
今度はドゴールさんが宥めるように言う。
「荷物も返してもらえましたし、すぐにでも帰れば、2週間もあれば戻れると思うし」
「俺なら、明日にも戻してやれるぞ?」
エイデンがニヤリと笑いながら言うと、チャーリーたちは、はっ? という顔をする。
「エイデン様がおっしゃるんだ、大丈夫だろ」
「え、でも」
「まぁ、まぁ、せっかくグルターレ商会も来てるし、村のほうでも売り物があるんだろうし、土産を買って行ったらいい。そして、明日にでも村まで連れてってやる」
「え、え、え?」
チャーリーたちの様子がちょっと可愛い。
「そうね、せっかくだから買い物していったらいいわ」
私はモモちゃんの背中を押して買い物へ行くように促すと、戸惑いながらも歩き出す。
――三人にもミサンガでもプレゼントしておこうかな。
そう思いながら、商会のほうへと向かう三人の背中を見送る私であった。





