表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
四度目の冬支度
910/961

第810話 エイデンの魔力

 グダグダと話すエイデンの話を要約すると。

 白狼族の住む村は、ビヨルンテ獣王国の中でもかなり北にあるそうで、人が住む村としては最北端にあるらしい。

 そして、エイデンが長年籠っていた山に一番近い人が住む村でもあったそうだ。

 近いといっても、かなり距離はあるようだけど。

 その山から、エイデンの魔力がじわじわとあふれ出ていたらしく、周辺ではエイデンの魔力のおかげで(いや、せいで、か)強力な魔物がうじゃうじゃ増えていたらしい。

 その上、質が悪いのが、ある一部の地域で瘴気が濃く滲んでいる場所も見つかり、それと交わった場所から、多くのブラックヴァイパーが沸きだしていたそうだ。


「でも、俺が山から離れて魔力が流れなくなったせいか、徐々に魔物たちは弱体化したようで、南下していったらしい」

「そういえば、最初にビャクヤたちと会った時に、ブラックヴァイパーに襲われたけど……まさか、それも」

「その頃は、まだ俺は山の中だ。だが……多くのブラックヴァイパーがいたから、ないとは言えないな」


 エイデンでもわからないようだけど、どんだけ長距離を移動してきたんだ、と唖然とする私。


「今回のブラックヴァイパーたちは、おそらく、白狼族の儀式の場所が、奴らには居心地がいい場所だったのだろう」

「居心地がいいって……」


 ヘビの居心地がいいところで、儀式をしなきゃいけなかったガズゥを可哀想に思うのは私だけだろうか。


「白狼族の連中も、何度も討伐していたようだが、数が数だけに、狩り切れていなかったようだ」

「うわぁ~」

「と、とにかく、瘴気が滲む場所は消し飛ばしたんで、もう大量のブラックヴァイパーは湧かないはずだ」


 ムフンッ、と自慢げなエイデンだけど、『消し飛ばす』という不穏な言葉に、ノワールのほうを見る。


「うん、あれだけ深い穴をあけたら、湧いたとしても地上まであがるのは大変だと思うよ」

「ちょ、ちょっと、大丈夫なの!?」

「大丈夫、大丈夫。ユグドラシルのばあさんが、根を伸ばしてたからな。そのうち消えるだろう」


 ユグドラシルのばあさんとは、うちのユグドラシルの親にあたる木だという。

 ……さすが、異世界クオリティ。


「それよりも、こっちは大丈夫だったのか?」

「うん?」

「風の精霊たちが急かすものだから、これでも急いで帰ってきたんだが」

「あ、ああ!」


 グルターレ商会を騙ったミエパリーノ商会のことを、エイデンに知らせてくれていたらしい。

 もしかして、瘴気のある土地を消し飛ばしたのは、そのせいだったりしないだろうか。聞くのが怖くて、顔を強張らせる私。


「大丈夫よ~。精霊たちがやってくれたし、ドンドンたちも頑張ったのよ」


 マリンがエイデンを見上げながら答える。


「そ、そうなの。今は、被害者の子たちを教会で預かってもらってて、ケイドンの街からの報告待ちってとこかな」

「そうなのか。あんまり、遅いようなら、俺が出張ってもいいんだぞ」

「いやいや、まずは、待とう? 風の精霊たちが教えてくれてる感じだと、そろそろ来るんじゃないかと思うんだよね」

「ふーん?」

「それよりも、ビャクヤたちや、ガズゥたちの情報を教えてあげなきゃ」


 私はハノエさんに連絡するべく、『すまほ』に手を伸ばすのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズ 3巻 9月22日頃発売予定

『山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~ 3』

GAノベルより 6巻 10月15日頃発売予定

『山、買いました6 ~異世界暮らしも悪くない~』

山、買いました



cont_access.php?citi_cont_id=731729576&size=300
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ